ジャンル別食名鑑

マレーシアのラクサと日本のラーメン

ご当地ヌードルで日馬文化比較

 マレーシアを旅してつくづく思うのは、マレーシア人は麺が好きだなぁということ。米麺を炒めたり、卵麺をあえたり、さまざまな種類の麺料理があります。なかでも人気なのが「ラクサ」。最近、日本でもじわじわ人気になっているラクサは、マレーシア人の大好物。じつはラクサ、日本のご当地ヌードル「ラーメン」と同じように、地域によって色んな味があるのをご存知ですか?今回はラクサとラーメン、この2つの麺料理に注目します。


ラクサ Laksa

中国からの移民が持ちこんだ麺料理で、ラクサの語源はサンスクリット語といわれている。米粉の麺を基本とし、スープは大きく分けると2種類。鶏や海老のスープにココナッツミルクを加えたクリーミーなもの、魚のだしをベースにしたあっさりしたもの。どちらも唐辛子入りで、刺激的な辛さがある。具は、卵(ゆで卵や錦糸卵)、海老、鶏肉、魚のほぐし身、フィッシュボールなど。魚系のラクサは、家で作ることもある。

ケダラクサ Kedah Laksa

ペナンの北に位置するケダ州で食べられている。魚のだしに酸味を加えたさっぱりした味で、米粉の丸麺を合わせる。むかし、逃亡中の泥棒がどうしてもこの「ケダラクサ」が食べたくて屋台に立ち寄ったところ、先回りをしていた警察に捕まったという、なんとものんきなエピソードがある。

ラクサム Laksam

マレー半島北東、クランタン州付近でラクサといえば、この「ラクサム」。魚だしにココナッツミルクを混ぜた、ほのかに甘いスープで、米粉の太麺で食べる。太麺といっても、四角状に薄くのした麺をくるっと巻いたもので、マカロニのように中は空洞。食感はやわらか。すするのではなく「食べる」麺。

サラワクラクサ Sarawak Laksa

黒胡椒をきかせたパンチのあるスープが特徴の「サラワクラクサ」。ボルネオ島サラワク州のご当地ヌードル。麺はビーフンで、千切りキュウリ、錦糸卵がおもな具。スパイスの香り豊かなサラサラカレースープ。食べる直前にカラマンシーをきゅっとしぼって、酸味でさわやかなコクを追加。サンバルで辛さを調整する。ちなみに黒胡椒はサラワク州の特産物である。

ジョホールラクサ Johor Laksa

その名のとおりマレー半島の南部、ジョホール州で食べられているラクサ。生野菜やハーブを薬味のようにたっぷりのせ、麺はスパゲッティというように、かなり独特の味。魚や海鮮をいれたカレー風のタレに辛いサンバルをあえて食べる。祝いの席で食べる特別料理で、ほとんどの場合が家で手作り。一般の屋台ではあまり出会えない。

ニョニャラクサ Nyonya Laksa

世界遺産の町、マラッカの名物麺。海老と鶏ガラのスープをベースに、レモングラス、シナモンなどのスパイスとココナッツミルクを加えてじっくり煮込んだココナッツカレー麺。具は、魚のすり身、海老、油揚げ、ゆで卵。食べるときに柑橘系の酸味を加える。うま味、辛味、酸味などのバランスがよく、とても人気がある。

アッサムラクサ Asam Laksa

ペナン島を中心に、マレー半島北部でよく食べられている味。また、マレーシア全土で、マレー系民族にとってラクサといえば、このアッサムラクサを指すことが多い。魚でつくるスープに、酸味と辛味を加え、海老の発酵ペーストを風味づけに加えた独特の味。とくにペナンのアッサムラクサが人気で、一度食べるとやみつきに。


ラーメン Ramen

中国由来の麺料理で、漢字で「拉麺」(引きのばした麺という意味)と書く。麺は、小麦粉でつくる中華麺で、太麺、細麺、ちぢれ麺、平打ち麺など、スープにあわせて色々な形状がある。スープは、醤油、とんこつ、味噌、塩の4つの味が基本。さらに、複数の食材を組み合わせたWスープのように、店独自のスープがどんどん開発されている。具は、焼き豚、シナチク、ネギ、卵が主流。海苔、ほうれん草がのっていることもある。

味噌ラーメン Miso Ramen

北海道・札幌が発祥の地。「味噌汁に麺を入れて欲しい」という常連客の注文から生まれたといわれている。濃厚な味噌に、こってりとした豚骨や鶏ガラのスープを加え、弾力のある中太のちぢれ麺を合わせることが多い。具は、焼き豚、ネギ、炒めたキャベツなど。寒い冬にふうふうしながら食べたい濃厚で力強い味。

喜多方ラーメン Kitakata Ramen

福島県喜多方市のご当地ラーメン。スープは澄んだ醤油味で、とんこつや鶏ガラ、煮干しなどを使っている。深みがありながらも、あっさりとしたあと味。じっくりねかせて作るコシのある太縮れ麺が特徴で、スープによくからむ。地元では早朝から営業をしている店が多く、出勤前の朝ごはんにラーメンという人もいる。

醤油ラーメン Shoyu Ramen

日本のラーメンの基本の味。東京を中心に、全国で味わえる。味の核となっているのは醤油で、そこに鶏ガラスープ、昆布やカツオなどの和風のだしを加えて深みのある澄んだスープに仕上げる。合わせるのは、中細のちぢれ麺。具は、焼き豚、メンマ、なると(魚のすり身)など。あっさりしていて食べやすい。

家系ラーメン Iekei Ramen

『吉村家』を元祖とし、神奈川県横浜周辺から全国に広がったラーメン。とんこつと鶏ガラを長時間煮込んでつくる濃厚スープ「醤油とんこつ」が特徴で、とろりとした濃度があり、コシの強い太いストレート麺にからめて食べる。焼き豚、海苔、ほうれん草が基本の具。濃厚な味なので、男性や若い世代に人気。

博多ラーメン Hakata Ramen

とんこつを強火でぐつぐつ沸騰させて作る乳白色の濃厚スープが特徴。麺はそうめんのような極細のストレート麺で、スープを適度に含ませながら食べる。地元の人は、麺のコシにこだわりが強く、「コナオトシ」「バリカタ」というように、麺のゆで時間をお客が指定。好みのコシの強さで、ラーメンを楽しむ文化がある。

とんこつラーメン Tonkotsu Ramen

九州を代表するラーメン(鹿児島は除く)で、長時間かけてとんこつを煮こみ、白濁したまろやかなスープに仕上げる。うま味の強い濃厚な味だが、あと味はすっきりしているのが特徴。ストレートの細麺を合わせることが多く、基本の具は、焼き豚、ネギ、煮卵。ヨーロッパやアジアなど、海外で注目を集めているのは、このとんこつ味。


ハラル醤油ラーメン

東京・浅草でハラルラーメン! 日本のラーメンが食べたい、というムスリムの方におすすめなのはHALAL麺亭「成田屋」。醤油ラーメン、味噌ラーメンのほか、カレー混ぜソバなどメニューも豊富。京都や大阪に支店あり。

つけ麺式ラクサ

日本とマレーシアの融合!東京・五反田のマレーシア料理店「ちりばり」で、「つけ麺式ラクサ」が味わえる。つけ麺とはラーメンの一種。スパイスのきいたラクサスープが麺と別に提供されるスタイルで、麺をスープにつけて食べる。


[この記事はWAU No.14(2017年12月号)をもとに作成されています。]

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