工芸

日馬文化比較:国を代表する錫ブランド

Cross – Cultural Comparison, Malaysian and Japan

マレーシアの伝統工芸品、ピューター。錫(すず)を主原料とする製品で、金属がかもしだすクールな印象とエレガントな美しさが魅力です。また、錫には高いイオン効果があるといわれ、お茶やお酒の味がまろやかになるとか。さて、日本にも有名な錫ブランドがあるのをご存じですか。ともに創業100年をこえる老舗ブランドを紹介します。

ROYAL SELANGOR(ロイヤルセランゴール)

1885年創業。当時、マレー半島の錫の採掘量は世界1位で、多くの商人や職人がマレーシアへ。創始者であるヨン・クーン氏もそのひとりです。1992年、国王からロイヤルの称号が与えられ、国を代表するブランドに。現在はマレーシア国内のみならず、世界20カ国に製品を輸出。マレーシアに訪れる国賓への贈呈品としても使用されています。

ロイヤルセランゴールの ピューター製品の特徴

ピューターとは、錫の強度を補うために他の金属を調合した合金のこと。ロイヤルセランゴール社は純度の高い錫を92%以上使用し、錫ならではのエレガントな艶感と職人の手で施された細やかなデザインが特徴です。絵柄には南国の植物をモチーフにしたものが多く、そのほかイスラム的な幾何学模様などさまざま。また、表面加工には光沢のあるもの、温かみのあるマット調の2種があり、最後の磨きによって表情を変えます。

本社で体験

The Foundry

ザ・ファンドリーは、鋳型体験ができるワークショップ。灼熱260度の溶けたピューターの世界を体験できる。アイテムは文鎮やブレスレッドなど。時間は約60分、参加費は159リンギット。予約は2名以上より。Webにて受付。www.royalselangor.com

Café

伝説をもつ「メロンポット」で紅茶が飲めるカフェ。大きな窓ガラスを配した明るい店内で、マレーシアの名物料理ラクサなどの軽食(日替わり)も提供。また、工場見学に参加すると、ピューター製のコップで冷えたドリンクを試し飲みできる。



能作(NOUSAKU)

1916年、富山県高岡の地に400年伝わる鋳造の技術を用いた仏具メーカーとして創業。現在は、錫製の食器を中心に400点以上のアイテムを手がけ、販売直営店は海外拠点を含めて13カ所。従来、やわらかいという特性上、商品の素材としては不向きとされていた錫を100%使うことで、錫製品の新しい可能性を発見したことでも有名です。

能作の錫製品の特徴

シンプルなデザインながら、丸みを帯びたフォルムが多く、どこか優し気で手になじむ温かさがあります。とくに特徴的なのは、錫100%の性質をいかした自在に形が変えられるアイテム。たとえば、網状の「KAGO」は、引っ張ったり曲げたりして、好きな形状に変形することができます。また、錆びにくい、朽ちにくいという錫の性質から、昔から縁起のいい器として贈答品にも人気。小ロット生産で、毎年30~40の新作を発表しています。

本社で体験

NOUSAKU LAB

砂を使って鋳型を作るところから製作を体験。アイテムは錫ぐい呑や箸置きなど。時間は約30分、参加費は1000円より。予約は7日前まではWeb、それ以降は電話にて。 www.nousaku.co.jp +81-766-63-0001

IMONO KITCHEN

富山県の食材を能作の器で味わえるカフェ。ドレッシングのソースピッチャーやベーグルのカゴに錫製品が使われている。また、カフェ横に設置してある水は井戸水で、こちらも能作の錫製のコップで自由に飲むことができる。

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