Remembering Late Mamat Khalid,
the King of the Malaysian Comedy Film
今年10月、人気を集めた映画監督ママッ・カリッド氏が亡くなりました。
1963年、ペラ州イポー生まれ。実兄は、マレーシアを代表する漫画家、ラット氏。父親から時間の浪費だと禁止されながらも、幼い頃から足繁く映画館に通い、兄と同じようにクリエイティブ産業に関わることを諦めませんでした。
話題作『Puteri Gunung Ledang』 (2004) の脚本から、興行収入がマレーシア歴代の最高額を記録したホラーコメディ『Hantu Kak Limah』(2018)の監督まで、携わった長編映画は50本を超えます。初期のテレムービー作品『Rombongan Cik Kiah Ke Sukan Komanwel』(1998) や、『Man Laksa』(2006) などのコメディ作品は傑作と言えるでしょう。
コメディは日々の生活の中に潜んでいると信じ、常にインスピレーションを与えてくれる友人たちと出会う喜びを追体験できるような映画を目指しました。
また、監督は風刺も好みました。『Zombi Kampung Pisang』(2007)では、人間の「脳みそ」を狙うゾンビが暗に示したのは、ゾンビのような能無しの権力者や資本家であったり、『15Puasa』(2004)では、ラマダン月に断食をしていないイスラム教徒の逮捕を巡るドタバタ劇を描いているのです。
映画製作のほか、アートや映画文化をより身近なものにと願い、ペラ州タンジュンマリムに「Sarang Art Hub」というカフェも経営。この小さな町は、映画ファン必訪の地となりました。
ママッ・カリッドさん、素晴らしい作品の数々をありがとう。
文/A・サマッド・ハッサン A Samad Hassan
翻訳/上原亜季 Aki Uehara