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マレーシア映画コラム#6 映画 『ゲラン』シラットの花と果実[WAU No.22]

『ゲランGeran』は、これまで30以上の長編映画で撮影監督を務めてきたアリェル・アブ・バカールの初監督作品です。アリェル監督は、武術家でもあり、東南アジアの他の地域とは違った魅力を持つマレーシアの伝統武術「シラット」に焦点をあて自身の軌跡を描きました。

 マレー半島北部のケダ州アロースターで撮影された本作、物語ではシラット格闘家の三人兄弟アリ、ファティマ、マット・アリップが犯罪組織から父親(演じるのはNam Ron)の土地の権利を奪い返すために戦います。アダム・シャーズ、メガット・シャハリザル、アエリール・ザフリエルなどの人気俳優も特別出演。シラット・ガヨン武術協会の全面的な協力を得て製作された本作に登場するシラット格闘家は、協会に所属する実践者たちです。

 振付師であるアズラン・コメンやアリェル監督は、マレーシアの特徴的な「シラット・ガヨン」の様々なスタイルを表現。インドネシアの「プンチャック・シラット」との違いは、主に格闘の前に演じられる、相手を惑わす舞踊のような動き「ブンガ(花)」と全力で攻撃をする「ブアー(果実)」があることです。

 監督は、日々の様々な問題にもブンガとブアーの二つの側面があり、どちらの解決法を選ぶのかは、私たち自身に委ねられていると考えます。『ゲラン』の撮影になぜ私費を投じたのか問うと、「人生において自分が望む道を分かっていれば、迷うことも、実現できずに悲しむこともない」というシラットの師匠の教えに背中を押されたのだと言います。

 10月に劇場公開された『ゲラン』は、興行的にも成功しました。


A・サマッド・ハッサン

A Samad Hassan/マレーシアの映画製作者として受賞歴のあるインディーズ作品から大ヒット作まで約100の長編映画製作に携わる。非常勤講師のかたわら映画やマレーシア文化、黒魔術などについて講演もする。神戸にて留学経験があり、オヤジギャグを愛する。


文/A・サマッド・ハッサン A Samad Hassan  翻訳/上原亜季 Aki Uehara

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