マレーシアから特別寄稿!
マレーシア映画に精通するA・サマッド・ハッサン氏のコラムが連載スタート!


A・サマッド・ハッサン

A Samad Hassan/マレーシアの映画製作者として受賞歴のあるインディーズ作品から大ヒット作まで約100の長編映画製作に携わる。非常勤講師のかたわら映画やマレーシア文化、黒魔術などについて講演もする。神戸にて留学経験があり、オヤジギャグを愛する。


「芸術は神の作品である」とは、マレーシアで多くの作品を手掛けた映画監督であり、役者、歌手、そしてスーフィズムの研究家でもあったP.ラムリーの言葉です。彼は、芸術は我が国の発展においても大きな役割を持ち、映画には観る者を自己発見の旅へと誘う精神的な意味があるとも示唆していました。

 マレーシアは、古くから東西貿易の重要な中継地であり、この地の芸術、文化、宗教そして人種は多様化しました。その影響は、感動的なサッカー映画『オラ・ボラ(Ola Bola)』(チウ・ケングアン、2016年)やトレンガヌ州の田舎町に送られた敏腕捜査官を描いた『ポリス・エボ(Polis Evo)』(ガズ・アブ・バカール、2015年)など、メインストリームの大ヒット映画から、警察の汚職を描き受賞もしているインディーズ映画『ワン・トゥー・ジャガ(One Two Jaga)』(ナムロン、2018年)やマレーシアのインド系社会の苦境を描いた『ジャガット(Jagat)』(サンジェイ・ペルマル、2015年)など、多岐にわたる映画にも反映されています。

 意識が高いマレーシアの映画人は、スクリーンを通してオープンに自国のアイデンティティーの探求をしてきました。P.ラムリーも述べているように、こうした公な形での真理や自己の探求がマレーシアをより良い国へと導く一端を担ってきたのです。世界は今後さらに探求、自己発見をテーマとしたマレーシア映画を目の当たりにすることになるでしょう。