音楽

アジアの情歌王子、光良さん

Special Interview with MICHAEL WONG, the Malaysian Singer

台湾を中心に、全世界の華人コミュニティーで絶大な人気を誇るシンガーソングライター、光良さん(英語名:マイケル・ウォン)。出身はマレーシアのイポーで、1996年より台湾に拠点を移して活動。アジアで記録的なCD売上を達成した曲「童話」は、あの香港スター、ジャッキー・チェンも絶賛。国を越え、世代をまたがり、歌で世界をつなぐ光良さんに、「童話」の誕生秘話、そして故郷への想いを伺いました。

“童話。それは、おとぎばなし。いくつもの困難を乗り越え、ハッピーエンドになる物語。これは空想の世界? そうじゃない。僕らの人生もきっと同じだ。たとえ辛いことがあっても、ハッピーエンドにするのは自分自身だから。”

by Michael Wong

 どこかなつかしく、どこか切ないラブソング「童話」。2005年にリリースされ、瞬く間に台湾、中国、マレーシアなどで各音楽チャートの1位を独占。しっとりとしたメロディーに甘く澄んだ歌声が世界中の人々を魅了。この曲によって、光良さんは一躍有名になりました。

——「童話」は作詞作曲から手がけていらっしゃるのですね。

 最初に曲とタイトルができ、あとから歌詞を書きました。もともと歌詞は他の人に依頼する予定でしたが、なかなか曲のイメージに合う歌詞に出会えず、結局、僕が書くことになったんです。

——歌詞にはどのような思いが込められていますか。

 辛いことがあっても、ハッピーエンドになるよ、という気持ちを込めています。夢、愛するものを信じていれば、かならず道は開ける。これは僕の願いでもあります。また、天使のように君を守る、という歌詞は、愛する女性への男性の気持ち。男性は言葉にはしないけど、心のなかではいつも愛する人を守りたいと思っているから。

——「童話」は、最初にリリースされたミュージックビデオ(MV)も話題になりました。彼女と家でビデオを見ているシーン、中山美穂さん主演の『Love Letter』がでてきますよね。

 あのころ台湾では日本の映画がとても流行っていて、カップルで見る映画といえば『Love Letter』だったんです。別のアルバムでは、小樽のロケ地でMV「2999年的聖誕節」を撮影したこともあります。

——また「童話」の編曲者は、日本人の中村タイチさん。3月に開催された日本初コンサートで、感動の再会になりました。

 コンサートで伝えたように、中村さんに出会えなかったら、今の僕はいなかったかもしれません。当時、それまでの曲のイメージを変えたくて、新しい編曲者を探していたんです。中村さんは友人の知り合いで、初めて会った日に即興で弾いてくださった編曲がとてもすばらしく、すぐに任せることに決めました。童話以外でも僕の曲の編曲をいくつも担当して下さっています。

——国を越えて曲を作り上げる。それも日本の方が関わっているなんて、嬉しいです。「童話」のアルバムは全12曲、どの曲も素敵ですが、「童話」のほかに光良さんにとって大事な曲を教えてください。

 どの曲も大事ですが、あえて選ぶとしたら、3曲目の「天堂」(日本語名は天国)です。この曲は、海外公演のときホテルでシャワーを浴びて寝ようとしたら、突然頭にメロディーが降ってきたんです。クリアな美しい旋律で、これがインスピレーションなのかな、と思いました。また、この曲はピアノの弾き語りで歌うことが多いのですが、初めはそれが苦手で。子どものころの僕は、人見知りで、知らない人と話せないタイプでした。だから、ひとりでピアノを弾いて歌うなんて、とてもできないと思ったんです。今ではだいぶん慣れたけど、やっぱり緊張します。これからも、ファンのみんなにもっと楽しんでもらえるよう、努力したいと思っています。

——話は変わりますが、故郷のイポーには帰省されますか。

 ここ数年、両親に会うためによく帰っています。帰ったらかならず、ワンタンミー・ドライ(コシの強い細麺を特製ソースであえたもの)を食べますよ。イポーは水が綺麗なので、その水で作る麺類がおいしい。「炒粉(チャーフン)」とよばれる店で、チャークイティオ(幅広の米麺を炒めたもの)やビーフン炒めなどを食べるのが楽しみです。そうそう、僕の台湾の事務所のベランダで、パンダンリーフやレモングラスなど、マレーシア料理にかかせないハーブを育てているんですよ。故郷マレーシアの味がときどき恋しくなりますから。

——最後に今後の夢を教えてください。

 映画監督をやってみたいかな。経験のある友人が周りにたくさんいるので、コツコツと計画を立てています。そしてまた日本でコンサートを開きたい。ファンのみなさんと会える日を楽しみにしています。

東京コンサートでは全22曲を披露!

2018年3月18日に開催された初来日公演。約2時間のステージで、デビュー以来のヒット曲を次々に歌いあげた。リラックスした表情の中国語でのトークや客席に降りてきての握手など、フレンドリーな光良さんの姿はライブだからこそ。「感激しすぎたせいか、記憶が余りありません…」というファンも。また、初めてコンサートで「童話」を聞いた編曲者の中村タイチさんは「童話のイントロが流れたときの観客の方の反応がすごくて、あの曲がこんなにも愛されているんだ、と感激しました」とコメント。

マレーシアの音楽事情

多民族国家であるマレーシアは、民族それぞれで人気の歌手や音楽が異なっています。たとえば、光良さんは中国語で歌うため、中国系の間で人気。中国レストランのBGMや中国語のラジオ番組でよくかかっています。マレー語で歌う歌手にはマレー系のファンが多く、言語的に共通点の多いインドネシア人の歌手もマレー系の方に人気です。また、英語がネイティブ並みの人も多いため、洋楽のファンも多くいます。マレーシアでは、様々なジャンルの音楽が、町中で飛び交っています。あらためて、音楽に国は関係ない、と実感するのです。

光良さん
Micheal Wong

1995年、デュオ「無印良品」としてデビュー。2000年にソロになり、2001年「第一次」、2005年「童話」が大ヒット。抜群の歌唱力に美しく甘い歌声で、バラードを歌い上げる姿はラブソングの王子(情歌王子)とよばれる。

光良さんの曲情報

全12曲のアルバム「童話」(ロックレコード)はアマゾンで購入可。またApp Storeにて、「アプリ版アルバム」が3枚販売中。中国語の歌詞やMVつきで、1枚360円。おすすめの曲は「九種使用孤独的性格方式」と「給力」。とくに「給力」は、「歌詞が自分に語りかけられているようで、聞くたびに励まされます」とファンより。どれもとてもいい曲なので、おすすめ!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です