2023年、ペナン訪問。タリナさんの自宅で習うマレーシア料理教室に参加しました。できあがった料理は、今まで食べたことがない絶品の味。タリナさんの素晴らしい料理の技に触れることができ、楽しいトークも満載で、まさに五感が喜ぶ感動の食体験でした!
なぜタリナさんの料理教室に?
タリナさんと知り合ったのは、今から3年前のこと。コロナ禍で何も活動ができなかったあの時期、マレーシアの味と空気を届けてくれたのは、オンラインで開催したタリナさんの料理教室でした(2021〜22年、計9回開催)。あのときの感謝を伝えよう、そして画面越しに見ていたおいしそうな料理を食べてみたい、と決意し、2023年6月、日本からペナンに飛びました。
プラナカンのルーツをもつタリナさん
さて、タリナさんは、彼女そのものがマレーシアのような多文化のルーツをもった人物です。祖母と母がプラナカン。とくの祖母は生粋のニョニャ(プラナカンの女性のこと)で、料理にたいそう厳しい方だったそう。その技を受け継いだ母は、子どもを喜ばせる食事が得意で、たとえば週末のディナーは豪華な大皿料理を作ってくれたり、料理を食べ終わると、お皿にかわいい絵柄が現れるよう盛り付けに工夫を凝らしたり。「母の味はどれも、私たち子どものために作られたものでした」とタリナさん。父は、インドのパンジャビ出身で、家族の食卓にはビリヤニなどのインド料理も並びます。つまりタリナさんにとって、ニョニャ料理、インド料理、そして地元のペナン料理すべてが、家庭の味なのです。
庭のハーブを摘むところからスタート
タリナさんの自宅は、ジョージタウンの町から車で約40分ぐらい。門をあけて中に入ると、タリナさんがとびっきりの明るい笑顔で迎えてくれてくれました。今回は、プラナカンの祝い料理であるハーブごはん「ナシウラム」を習います。自宅に到着してまず案内してくれたのが、パンダンリーフからココナッツまで栽培されている庭つき700平米(!)のご自宅。柑橘類のリマウ、ターメリックまで、料理に使うほぼすべてのハーブは庭にあるのです。
ニョニャ料理の大事なポイントとは?
ニョニャ料理ナシウラムは、20種以上もの食材を使い、煎ったり、つぶしたり、と大変手間のかかる調理です。たとえば、ブラチャン(発酵海老のペースト)は乾煎りしてパウダーに。干した塩魚は水で戻し、フライパンでしっかり焼いて、骨と皮をていねいに取って、すこしだけ油を加えてカリッとさせて、石うすでちょうどいい大きさに砕くなど。それぞれ下処理をしたら、今度は混ぜる順番も決まっているのです。タリナさんいわく、ニョニャ料理をおいしく作るコツは「順番を守る」「手間を惜しまない」「バランスを考える」の3つ、とのこと。
現地でしかできない食体験
習ってみて感じたのは、正直にお伝えすると、ニョニャ料理を作るのはやはり大変だな、と。食材の多さ、それぞれの下処理の大事さ、そして混ぜるときの手の動かし方や火の淹れ方の加減など、細やかなコツがあります。なので、じぶんの家で完璧な味を再現するのはめちゃ難しい、と感じたのと同時に、この大変な工程こそが、ニョニャ料理の香りのよさ、美しい色あい、味の奥ゆきをうみだしていることを実感。そして、できあがった料理は今まで食べたことがないほどの美味! この食体験は現地の料理教室でしかできない、と感じたとても貴重な時間でした。
味の素晴らしさに加えて、タリナさんとの会話もとっても楽しかったです。タリナさんは、料理をしながら母や祖母とつながり、彼らのあたたかさ、厳しさを今でも感じているようで、私もタリナさんの家族の歴史におじゃましているような気持ちになり、会ったことのないタリナさんのお母さんにつながった気もしました。食体験だけでなく、歴史・文化・風土すべてが体感できるレッスン、参加してみたい方は下記の詳細をご確認ください。
◆タリナ’s Kitchen 料理教室(自宅開催) 詳細◆
参加費:RM185 / 1名
催行人数:3名以上
メニュー、時間は要相談
言語:英語
問合せ先:hashizume@smi-group.asia(Ms. Yukiko)
◆朝市訪問付き タリナ’s Kitchen 料理教室(自宅開催) 詳細◆
参加費:RM235 / 1名
催行人数:3名以上
メニュー、時間は要相談
(おやつ朝食、ローカルドリンク1杯付き)
言語:英語
問合せ先:hashizume@smi-group.asia(Ms. Yukiko)
写真 photo by Oh Chin Eng / Special Thanks to Yukiko Hashizume