映画FILM

マレーシア映画コラム#2 銀幕の精神[WAU No.18]

大志をもって描かれた
Mencari Rahmat  (ムンチャリ・ラーマット)

(左から)監督、役者アメルル・アフェンディ、シャリファ・アマニのリハーサルの様子 ©AB Roll

「創造することは、勇気のいることである」とは、『ムンチャリ・ラーマット』(2018年)の監督アル・ジャフリー・モハマド・ユソプ氏の言葉です。本作は、アル・ジャフリーの長編デビュー作ですが、彼は、これまで映画、テレビ、演劇の脚本家として活躍してきました。長年にわたり経験を積んできたマレーシア映画界で監督が出会った様々な人物(ときには不愉快な人物も含めて)をパロディーとして、オスカー・ワイルドの喜劇『真面目が肝心(The Importance of Being Earnest)』をマレーシアのセッティングで描いた、可笑しくて、心温まるコメディー作品となっています。

 キャストとして、日本の様々な映画祭でも上映された『細い目(Sepet)』(ヤスミン・アフマド、2005年)や『ブノハン(Bunohan)』(デイン・サイード、2012年)など、記憶に残る映画作品に出演しているシャリファ・アマニ、ナムロン、アメルル・アフェンディ、アディバ・ノール、アズマン・ハッサンなど、ベテラン俳優陣が登場します。今最も旬な俳優たちが、たった2つの空間でストーリーが展開する『Mencari Rahmat』で素晴らしい演技を見せていることは特筆に値するでしょう。

ラストシーンの準備をする、(左2番目から)ナディア・アキラ、アメルル、アマニ、アディバ・ノール ©AB Roll

 今日、マレーシアにおける映画製作は転換期にあります。監督たちは、大画面を通して国の行く末や方向性についてオープンに語り始めているのです。映画を通して国の向上に貢献する中で、アル・ジャフリー監督は、「変化」は勇気だけでなく、「神の恩恵(Rahmat)」を伴う必要があるのだと観る者に気付かせるのです。


A・サマッド・ハッサン

A Samad Hassan/マレーシアの映画製作者として受賞歴のあるインディーズ作品から大ヒット作まで約100の長編映画製作に携わる。非常勤講師のかたわら映画やマレーシア文化、黒魔術などについて講演もする。神戸にて留学経験があり、オヤジギャグを愛する。

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