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陳家物語#4 スープ編[Windz Tanマンガ連載]

[この記事はWAU No.10(2016年12月号)から転載しています。]

日本と縁が深いマレーシア華人一家を、兄弟ふたりがマンガで綴る連載。第4回は、日本人の長男嫁から陳家の台所をご紹介します。

陳家に嫁に来て早10年になろうとしています。

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食堂経営の経験を持つ料理人、アースー

初めは何も分からず(今もですが…汗)、夫の実家のマレーシアに帰国するたびにトンチンカンな行動をしてしまう嫁です。この間は包(まんじゅう)を冷蔵のままで食べてしまい叱られました。華人にとって冷たい食べ物を食べるのは非常識なのに、笑。

今回はそんな日本人嫁が伝授してもらった陳家の家庭料理、特に“湯”(スープ)についてご紹介したいと思います。

私の料理の老師、スマホのアプリ使いと鶏の解体は天下一品!陳家の義父の2番目の弟「アースー」。少し前まで工場の中の食堂を経営していた料理人。彼が作る家庭料理はすべて陳家の西太后である義祖母(95歳)から受け継いだスタイル。


トマトとジャガイモ、トウモロコシのスープ

  1. スペアリブをお湯で一度煮て、余分な油を落とす。
  2. 水にスペアリブ、トウモロコシ、タマネギ、ジャガイモ、ニンニク、生姜を入れて約2時間コトコト煮込む
  3. 出汁が出たら最後にトマトを入れる。調味料は塩だけ!! 

スープの味の決め手はトウモロコシ!トウモロコシってこんなに良い出汁が出るんだ〜と感動!我が家の娘達の大好物。

あとアースーに教えてもらったどんなスープにでも使える秘密の技があります。それはsugercane(サトウキビ)をスープの出汁として一片、こっそり入れておくこと。そうすると化学調味料なんていらないくらい深い味わいになるのです。陳家先祖のルーツは中国の潮洲、だから家庭料理はすべて義祖母の故郷の味です。潮州の味は素材も調味料もシンプルで塩味がよく効いていることが特徴。日本の味にとても近い感じがします。


もう一人の老師、義父の3番目の弟のお嫁さん「サンスン」。陳家一の長身の彼女は元はウエディングドレス作りの職人さん、今ではママと名コンビのバジュクバヤの仕立て屋さん。広東系出身の彼女のスープはまたひと味違います。 

クレソンスープ

  1. スペアリブをお湯で一度煮て、余分な油を落とす。
  2. 水を沸騰させ、スペアリブ、クレソンの茎、bitter almonds(苦扁桃)、sweet almonds(甘扁桃)、羅漢果(割る)、クコの実を入れて約2時間。
  3. 最後にクレソンの葉を入れて塩で味付け。
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広東料理のスープの達人、サンスン

このスープ、色は羅漢果のせいなのか黒くて、甘くて、クレソンの出汁が効いていてい私には初体験の味!広東の人々にとってスープはとても重要。良い嫁と言うのは毎日美味しいスープを作れる嫁。そして、広東スープは色んな食材を使うのが好き。苦み、甘み、塩味をすべて旨みにするのが広東スタイル。

外食が多いイメージのマレーシアですが、各家庭の家庭料理もしっかりと残っています。特徴的なのは先祖の出身によって味の好みが少しずつ変わること。何世代前も前の先祖なのにその味が脈々と受け継がれていることに感動します。

となると…マレーシアンジャパニーズな私の娘達はどんな味を再現するのでしょうか?やっぱり味噌スープですかね!

(※現地そのままのレシピ。日本で買えない食材もあります)


windztan-10-tanmari-color文:

Tanmari

タンマリ。2007年にTANJCと結婚。現在は二児の娘の母。当初マレーシアのことがあまりにも分からず、「ああ!マーライオンの国ね」と言っていた新妻も、今では義祖母の味を再現して夫をうならせるのが楽しみな古嫁に。好きな食べ物はドリアン。



portrait WindzTanマンガ:

Windz Tan

(陳維哲)漫画家。88年生まれ。09年来日。文星芸術大学マンガ専攻にてちばてつや氏(代表作『あしたのジョー』)のもとで学んだのち、ビストロの調理補助として修業・料理研究。料理漫画以外もファンタジーから戦争、ギャグ、少女マンガまで。



TANJC文・構成:

TANJC

(陳維錚)デザイナー、メディアアート作家、大学講師。12才離れた実兄だが、Windzと瓜二つ。96年来日。東京→山形→京都。舞台撮影から、映画VFX、グラフィックデザイン、WEBまでマルチにこなす。WAUは創刊からデザイン担当。


 

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