The Museum that opens the Gate to the World of Islamic Arts
植物をモチーフにした「アラベスク文様」や緻密な幾何学文様によって装飾され、時代や土地の気候風土に合わせた構造を取り入れながら発展してきたイスラム建築。まさにイスラム美術の結晶ともいえるのが、世界各地にあるモスク。外観の装飾に加えて、ドームを配した高い天井をもつモスク内部は、大勢の信者が集って礼拝を行うための空間が広がる壮麗な建築美がうかがえます。
この建築様式を取り入れ、世界各地の観光客を魅了しているのが、クアラルンプールにあるマレーシアイスラーム美術館。イスラム世界の建築やアートを包括的に展示し、私たちを奥深いイスラム美術の世界へと誘います。
西暦七世紀初頭に、神の啓示を受けた預言者ムハンマドが布教を始めた一神教「イスラム」。アラビア半島からアフリカ、中国、中央アジア、東南アジアへの宗教思想の広がりとともに長い歴史の中で多様な文化、芸術を育んできました。
神の啓示をアラビア語で記録したイスラムの聖典『クルアーン(コーラン)』が書き写される中でアラビア書道の基礎が築かれ、医学、天文学、叙事詩など様々な分野の書物の写本の挿絵や装飾を通じて絵画が発展したと考えられています。絨毯や衣服、ヴェールなど、人々の生活に根ざしながら、色彩豊かな芸術品へと昇華したテキスタイルもイスラム美術を代表する工芸品の一つです。
施設情報
ISLAMIC ARTS MUSEUM MALAYSIA
マレーシア イスラーム美術館
住所:Jalan Lembah Perdana, 50480 Kuala Lumpur
www.iamm.org.my
Instagram:@islamicartsmuseummalaysia
※現在は、感染症対策のため休館中。訪問の際はウェブサイトにて情報をご確認ください。
写真・取材協力/ Islamic Arts Museum Malaysia
文/上原亜季 Aki Uehara