マレーシアの映画や演劇のなかには、食事のシーンがたくさんあります。そのシーンは、登場人物の民族性や人となりを表現し、物語のカギになっていたりします。あのシーンで食べられていたごはん、登場人物が語っていたごはん。それは、どんなごはんだったのでしょう。想像をふくらませてみました。
映画『タレンタイム』
Talentime
2009年 | 監督:ヤスミン・アフマド | 2017年、全国順次公開決定!この機会をお見逃しなく! 3月下旬渋谷シアター・イメージフォーラム、4月大阪シネマート心斎橋ほか。詳細はこちら(配給 ムヴィオラ)
点心の数々
主人公メルーは、マレー系ファミリーの長女。イスラム教徒である彼女の家で、久しぶりに英国からやってきたおばあさんのために用意されたのが、手作りの点心。メルーの家のお手伝さんであるメイリンが華人系なので、点心を作ることができたようです。メルーファミリーはみな、箸使いも慣れたもので、おいしそうに点心を食べています。
ポテトカレーほか
おばあさんを空港に迎えに行く日の朝。いつもの会話を楽しむメルー家の食卓に並んでいるのは、パンあり、お菓子ありの様々な料理。「ポテトカレーをこっちに」というセリフがあり、朝カレーのようです。イギリス系のお父さんの前にはトースト、手前にはサンバルソース。好みはそれぞれでいい、というメッセージのようなバラエティに富んだ料理が並んでいます。
演劇『NADIRAH』
NADIRAH
アジアシリーズ vol.3 マレーシア特集|インスタントカフェ・シアターカンパニー|演出:ジョー・クカサス|作:アルフィアン・サアット|
ニョニャ料理の数々
主人公ナディラは、大学でムスリム・ソサエティの副代表をつとめる優等生。お母さんサヒラと二人暮らし。中華系のサヒラは、元夫との結婚によってイスラム教に改宗しています。サヒラが思いを寄せるロバートに食べさせたい、と用意したのは、ルンダン、サンバルソトンなどのマレー料理。改宗したので、豚料理のバビポンテが作れなくなった、というセリフがありました。
映画『イスタンブールに来ちゃったの』
Istanbul Here I Come
2012年 | 監督 :バーナード・チョウリー |
最後の一袋、アッサムラクサ
イスタンブールで出会ったディアンとハリスはケンカばかり。ディアンが台所で発見したのは、ハリスが大事にとっていたインスタントのアッサムラクサ。このアッサムラクサをめぐって、恋が急展開!
映画『パパドム~パパの味』
2009年 | 監督:アフドゥリン・シャウキ |
パパの味、パパド
主人公のお父さんは、ペナンでナシカンダー(インド系の食堂)を経営。手作りする「パパド」が評判になり、店はチェーン展開するほどに。大学生の娘と父親をつないているのが、パパドの味。
映画『ナシレマ2.0』
2011年 | 監督:Namewee(黄明志)
民族の結集、ナシレマ
主人公は中国料理店の料理人。腕は良いにもかかわらず、店は閑古鳥。一方で、店の前の路上にある小さなナシレマ屋台はいつも大行列。ふとしたきっかけでナシレマのおいしさに目覚めた料理人は、ナシレマを探る旅に出る。
文・撮影 Oto Furukawa (Malaysia Food Net)
Special Thanks ムヴィオラ、フェスティバル/トーキョー16
[この記事はWAU No.11(2017年3月号)の巻頭記事から転載しています。]