伝統的に、サラワク内陸部に住む先住民族オラン・ウルの男性によって演奏されてきた弦楽器「サペ」。現在でも踊りの伴奏として演奏されますが、かつては、病気の治療を目的とした儀式や結婚式などで演奏され、村では大切な役割を担っていました。ジャングルの奥地から木を切り出して作られるサペでは、自然の音を反映した音楽が奏でられます。近年、若い演奏家による都会での演奏の機会も増え、弦が2弦から4弦以上になり、エレクトリック化されるなど楽器も変化してきました。現在は女性の演奏家も活躍しています。
サペの音色が印象的なバンド
2018年のレインフォレスト・ワールド・ミュージック・フェスティバルに参加予定のAt Adau(アト・アダウ)(写真左)やSada Borneo(サダ・ボルネオ)(写真右)は、サペなどの民族楽器とギターなどの西洋楽器を融合させ、新たなサウンドを生み出し、若者を中心に支持を得ている注目のバンドです。
サペの製作工程
一本の木から楽器のボディとネックを切り出し、裏側から内部をくり抜き、形が整ったら数週間から数ヶ月、外気にさらし木材を乾かします(写真左)。雨期は火の近くで乾かすことも。楽器の表面にサラワクの動植物などをモチーフにした模様を描き、弦を張り、小さな木片や竹でできたフレットを差し込みます。モダンな楽器にはピックアップなどを取り付け、エレキ化(写真右)。
サラワク・カルチュラル・ビレッジ
Sarawak Cultural Village
「生きた博物館」を謳うサラワク文化村では、サラワク州で暮らす主な7つの民族のロングハウスや高床式の伝統家屋を訪問する形で、各民族の生活様式、伝統工芸品を作る様子、伝統楽器の演奏などを楽しむことができます。民族音楽と舞踊を存分に楽しめるカルチュラルショーも必見。熱帯雨林の緑に囲まれた敷地内を歩くだけでも癒されます。
住所:Sarawak Cultural Village, Pantai Damai, Santubong, Kuching
開園:9:00~16:45、無休
料金:大人 RM60 子供 RM30
カルチュラルショー: 11:30~12:15、16:00~16:45
http://scv.com.my
[この記事はWAU No.16(2018年6月号)から転載しています。]
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