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マレーシア人10人に聞きました。あなたが今、大事にしていること。そして理想の未来とは[WAU No.29]

マレーシア政府は、2020年3月18日に1回めのMCO(コロナ禍における活動制限令)を発令。その後、感染の広がりに応じて、地区をまたぐ移動の禁止、教育機関の閉鎖、飲食店内での食事の禁止などの措置を取っています。この状況下で、人々はどのような思いを抱え、どのような日々を送っているのか。さまざまな職業の方のリアルな声を集めました。


「どんな状況でもどんな方法でも、歌を届けていきたい」

Asmidar アスミダー
歌手

「コロナ前はテレビ番組やステージの仕事で忙しかったのですが、現在はすべてストップ。でも、私たちアーティストは、表現をし続けなければいけません。そのひとつがInstagram Live。歌だけでなく、料理を披露したり、トーク配信をしたりと、ファンの方にメッセージを届けています。また、ただでさえ継承者が少ない伝統音楽や芸能の世界。ステージに立てないなか、次の世代に継承していく方法を常に模索しています」

現在の活動
自宅からオンラインでマレー伝統歌謡の大学講師やSNSでの歌の披露などを行っている。とくにライブ配信に力を入れ、ファンとのコミュニケーションを大事にしている。

先日、WAU編集部とコラボでInstagram Liveを開催。「日本人向けのマレー歌謡講座も計画中です」と語ってくれました! Instagram:@asmidarisme


「未来が不確かなのはあたり前。今に照準を合わせて行動する」

Adu Amuran アドゥ・アムラン
料理人、クアラルンプールのレストラン「ADU Sugar Restaurant」経営

「MCO下では、レストランはデリバリーと持ち帰りしか営業ができません。そのため、ビジネスは大きな打撃を受けています。でもこの状況は、地球上のどこでも起こっていること。落ち込み過ぎないことを心がけ、クリエイティブな発想で今できることに取り組んでいくだけです。趣味の絵を描くのがリラックスタイム。料理の知識を増やす時間もとっています。理想の未来は、それぞれが自分らしい生活を送れること」

現在の活動
この1年で「ラクサペースト」など自社商品を次々に開発。Instagramではレシピ動画を中心に配信。

レストランの人気メニュー「ジョホール・ラクサペースト」など15商品を販売。注文は、直接SMSやネット販売Shopeeにて。Instagram:@chefaduamran


「コロナ後は、あるがままの自分を肯定できる世の中にしたい」

A Samad Hassan サマッド・ハッサン
映画プロデューサー

「映画業界はコロナによる打撃が大きく胸を痛めています。感染防止のために撮影が許可されない一方で、新しいコンテンツへの需要は高まってるという板ばさみ状態です。パンデミックは、長い人生のなかのひとつの出来事。収束すれば、また喧噪の日常に戻るでしょう。そう思うと、この静かな時間を大切にしたい。最近は、1980年代の日本のポップスにハマっています。とくに竹内まりやの「Plastic Love」が好きです」

現在の活動
メディアやアートに関するIT系の仕事を自宅で手がける。とくに最近は、昔の映画をデジタルフォーマットに変換する編集作業が多く、パソコンを新調。

「近所のスーパーは常にインスタント麺の棚が空っぽ。私自身の食生活は1日2食で白米をひかえ、減量に成功しました」とサマッドさん


「幸せ、団結、旅、健康、感謝…気づきという恩恵があった」

Heidi Tay ハイディ・テイ
サラワク政府観光局(STB)勤務

「1回めのMCO発令以来、会議はオンラインになり、在宅勤務が主になりました。外出中はマスクをつけ、消毒液を持ち歩き、帰宅したらすぐにシャワーを浴びています。ストレスは溜まりますが、自分や周りの人のために必要なことです。今の状況は、幸せとは何かを考えるきっかけでは、と。ストレス解消法は料理です。自炊が増えたので、以前より電気代が高くなりました。家でのスチームボートがマイブームです」

現在の活動
サラワク州で毎年開催されいてる音楽祭「Rainforest World Music Festival」。2021年はオンラインで開催し、世界中に音楽の魅力を届けた。

2019年12月に撮影したSTBスタッフの写真。「ソーシャルディスタンスのない、この集合写真がとても恋しいです」とハイディさん


「夢は、また旅ができること。友人に会ってご飯を食べたい」

Mohd Rhashidi Bin Ibrahim ラシディ(CD)
ショップ経営、カメラマン

「ラブアン島で仕事をしていましたが、現在は行くことができず、実家のマラッカで小さなショップを経営しています。手作りのマレー菓子や庭で収穫した果物などを販売。生活はとてもシンプルです。田舎なので料理の宅配サービスはなく、毎日自炊。節約を心がけ、健康のために体を動かしています。ニューノーマルのプラスの面は、家族や友人、近所の人々との関係を取り戻せたこと。結束の大切さにも気づきました」

現在の活動
庭で野菜を作ったり、ショップをリノベしたりして過ごす。売上を増やすためのSNSの活用やオンライン決済などのスキルを学ぶのが、目下の目標。

自然と共存していく大切さに気づいた、というCDさん。コロナが収束しても「草の匂いを感じられる自分でいたい」と語ってくれました。


「お互いを思いやり、音楽を愛しAIに依存しすぎない世界に」

Leonard Selva レオナルド・セルヴァ
高校教師、音楽家

「授業では、精神的に生徒たちに寄り添いたいと考え、過去の感染症の話をしました。昔の人たちがいかにしてペストやスペイン風邪を乗り越えたのか。この事実は、現在の話より、生徒たちに多くの希望を与えることができます。パンデミックは、忙しい都会人に、家族との時間など日常を再考するきっかけを与えたと思います。これまで当たり前だと思っていたことが、とても大切なものだと気づいたのです」

現在の活動
授業はオンラインで、プレゼンとディスカッションを中心に工夫をこらす。音楽家としては、以前より深く曲を理解し、新たな曲の習得にも取り組んでいる。

家族で食事をすることが増え、洋食やマレーシアの伝統菓子作りに挑戦。写真は自信作のペナンの名物菓子「豆沙餠 タオサーピア」。


「この状況を乗り越えたことは、かならず私たちの力になる」

Nurul Asyikin ヌルル・アシキン
観光・市場・撮影コーディネーター

「もともと個人の会社なので、とくに仕事のスタイルは変わっていません。一番考えるのは、子どもの将来。この2年間で、友達に会って遊んだ日は両手で数えるほどです。幸い、通っている幼稚園はスタディ・キットを用意してくれるなど、オンライン授業に工夫があり、ありがたいです。生活面では贅沢をしなくなりました。スーパーなどに設置されたフードバンクを通して、困った人たちに小額の寄付をしています」

現在の活動
外出が制限されているなか、市場動向など最新情報を得るのはもっぱらSNSや友人との会話。ベランダで家庭菜園を始め、自炊がほとんど。

幼稚園のスタディ・キット。「オンラインで子どもが学習しているのを見るのは、毎日が授業参観のようで楽しいです」とヌルルさん。


「自由に行きたい場所に行ける以前の生活に戻りますように」

Joyce NG ジョイス
JTBランカウイ支店マネージャー

「 旅行業界は、今までの常識が180度変わり、オンラインツアーなど新規事業に取り組んでいます。現在はおもに在宅勤務で、家族以外の人と会わない毎日です。子どももオンライン授業なので、それぞれがいつもパソコンの前にいて、一緒に家にいるのに孤独を感じることがあります。オンラインで物ごとはある程度は完結しますが、やはり直接会えたらどんなにいいでしょう。人とのふれあいが大切だと改めて感じています」

現在の活動
仕事がオンラインに移行し、パソコンやIT技術など新しい知識を学ぶことで精一杯の日々。日用品の買い物もほぼオンラインで済ませる。

ランカウイのホテル内で、オンラインツアーを開催したときの様子。背景にある花は、熱帯のマレーシアで年中咲いているブーゲンビリア。


「デジタル社会のおかげで学びのチャンスは広がった」

Linda Hussain リンダ・フセイン
JTBランカウイ支店マネージャー

「マラッカで、ゲストハウスとコピティアム(喫茶店)、そして学生向けの旅行の仕事をしています。どれもパンデミックで打撃を受け、ゲストハウスとコピティアムはいったんクローズ。内装のリノベぐらいしかできることはありません。旅行会社ではオンラインツアーやバーチャルでの文化体験に取り組んでいます。できるだけ外出をひかえ、家庭菜園を始めました。新鮮な野菜が手に入り、心も落ち着きます」

現在の活動
観光関連の事業はストップし、変革を模索。一方で、デジタル社会が進歩したことで、個人のスキルアップは容易になったと感じている。

食事に気を使い、炭水化物、砂糖、塩分をひかえめにした自炊をしている。「ときどきマレー菓子を買うのは自分へのご褒美です」とリンダさん


「理想は、どこにいても働けて、世界中の授業が受けられること」

Noor Jannah ヌール・ジャンナ
データアナリスト

「コロナ禍になって、家族のことを考えました。以前父が亡くなったとき、近くにいなかった私は何もできませんでした。その後悔を繰り返さないよう、帰国をして母の面倒を見ることを決断。何があっても、マレーシアのファミリーとすぐに会える距離にいたいのです。とはいえ、2人の子どもは日本の学校に在籍し、家もまだ日本にあります。これはひとつの通過点で、その都度ベストな方法を考えていきます」

現在の活動
今年8月に、20年暮らした日本から帰国。家族6人で、マレーシアで新しい生活をスタートさせた。仕事は以前と同じ会社に属し、リモート勤務を続けている。

帰国後2週間、ホテルの部屋から一歩も出ず隔離生活。運動不足解消のために部屋を20往復したらゲーム許可などの工夫で乗り切った

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