アート

日本人画家が描く、マレーシアの自然

Nature of Malaysia captured by the Japanese artist’s view

パハン州チニ湖でのアートキャンプ後に描いた作品。1月にマレーシア国民大学(UKM)の展覧会で披露された

  花束のように釣り下っているのはドリアンの花。緑の果実と赤紫のつぼみのコントラストが印象的なバナナの木。紺碧の羽を輝かせているのはコノハチョウ。マレーシアで暮らす画家の山田さなえさんが、身近にある自然をのびのびと自由なタッチで描いた作品です。

 国土の約60%をジャングルが占めるマレーシアは、原始的で生命力にあふれた自然が各地にあります。アーティスト仲間と集い、湖畔や森のなかで絵を描くアートキャンプに参加。そこで出会った動植物の色、形、模様は、人間の想像力をはるかに超えて美しい、と山田さん。また、最近では先住民族オランアスリの研究者のフィールドワークに同行し、彼らの暮らしに欠かせない様々なハーブを見学。知らなかったハーブの世界に魅了され、絵で記録することを決意。今後はマレーシアの豊かな自然を未来につないでいく活動にも力を入れていくそうです。


 ハーブ、蝶、果物、海洋生物など様々なテーマで作品を創作。「この前、東海岸のティオマン島に行ったら、これまで描いたことのある魚が海で泳いでいたんです。まるで絵から飛び出してきたように見えました。あの体験以来、絵に描くと、また実際に会えるかもしれない、と思うようになりました」と山田さん。この言葉は、自分が描くことで命が生き延びることを願う。そんな祈りのようにも聞こえるのです。

1絵の右上、表情豊かなナポレオンフィッシュはマレーシアの海の人気者
葉脈の模様の不思議さはどれだけ見ても飽きない、と山田さん
動物シリーズの水彩画は絵葉書として販売。おみやげに人気

山田さなえ Sanae Yamada
京都市立芸術大学美術科卒業。2001年にマレーシア人と結婚し、2003年にマレーシア移住。アクリル画、水彩画、油彩画、イラストの制作。

2020 年、マレーシアの人気絵本作家ユソフ・ガジャさんの指導の下、絵本『そーっとそっと』(作:山内麻美、絵:山田さなえ)を出版。個展も行っている。
Web https://www.sanae-y.com/

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