空に舞い、アパートの窓や店の軒先に飾られた国旗。屋台の赤い椅子に座って食事をする人々、彼らの視線の先には紅茶をいれる料理人。マレー系、インド系の衣装を着たふたりの女性が並んで立ち、伝統的な高床式住居の前ではコマで遊ぶ子供たち。New Chapter(新しい時代)をテーマに描かれた1枚の絵には、マレーシアのいろんな場面で見かけるさまざまな風景が描かれています。
この絵は「本土幻想 loka made」の作品。2015年に活動を開始したデザインチームで、民族楽器、文化的建造物、ボルネオの野生動物、伝統のおもちゃ、人気の料理などマレーシアの文化や風景をテーマに表現。「錆びた看板、インド寺院にある花飾り、中国のルナカレンダー。そういった私たちの日常にある見慣れたアイテムの背景に、古い映画館や屋台といった昔なつかしい建物を組み合わせる。ローカルとファンタジーを融合させ、私たちの世界を再構築して見せたい」と創設者のひとりシュウさん。
過去と現在、現実と空想。クアラルンプールのツインタワーの隣にペナン島のランドマークのコムタがあるように、絵のなかでは空間さえも飛び越えます。さまざまな表情を見せる彼らの絵には多文化が共存するマレーシアの豊かさ、そして新旧が入り混じるマレーシアの魅力が描かれています。
本土幻想 loka made
イラストはポストカードやキーチェーン、パズルなどの雑貨になっていて、おみやげ品として購入可。日本のマンガにインスパイアされた作品もある。 https://www.lokamade.com/
文/古川 音 Oto Furukawa