世界遺産の町、ペナン島のジョージタウンとマラッカ。ホテルの窓から町を眺めると、柿色の屋根をもつショップハウスが広がっています。歴史に思いを馳せつつ、ノスタルジーをかきたてる2つの町を歩いてみましょう。
Penang ペナン
マラッカ海峡の北に浮かぶペナン島。東洋の真珠とうたわれる風光明媚な島、その北東部に、アジアとヨーロッパを結ぶ中継貿易地として栄えた町、ジョージタウンがあります。19世紀にはビジネス目的で中国からの移民が増え、特徴的なショップハウスの町並みがうまれました。
中心部から東にすこし離れたナゴール通り。ここには青、黄、ピンクなどカラフルに彩られたショップハウスが軒を連ねています。中心部の南側、東西に延びる小路、アルメニア通りは、1階に骨董店、カフェ、ギャラリーなどが入った現役のショップハウス。120番地には辛亥革命で知られる孫文が活動の拠点にした建物もあります。
北に歩くと、年季の入ったショップハウスが並ぶラブ・レーンへ。欧米人を中心にバックパッカーが集まるゲストハウスは、古いショップハウスを改造したもの。また、おしゃれなレトロ雑貨店「41リビング・ストーリー」は昔ながらのショップハウスをそのまま使用しており、中の構造もゆっくりと見学できます。ちなみに、このあたりの歩廊はジョージタウンでもっとも狭くなっており、それをテーマにしたアイアンアートがスチュアート通りに描かれています。
41リビング・ストーリー
昔のショップハウスをそのまま活かして営業している雑貨店。こぢんまりした間口からは想像できない奥行きの広さで、中央部分は光が差し込む吹き抜けに。下記の写真は外観のように見えるが店内。中庭がショップハウスの構造を実感させてくれる。41 Love LaneGeorge Town, Penang
Melaka マラッカ
マレーシアの歴史が始まった町、マラッカ。約600年前に王国が誕生し、84の言語が飛び交う国際都市として栄えたのち、ヨーロッパ列強の支配下に。そこから形成された独特のミックスカルチャーは、多様性を大事にするマレーシアそのもの。この歴史をになった人々が暮らしたのがショップハウスです。
オランダ広場からマラッカ川を渡ると、オールドタウンとよばれる商人の町が広がっています。ハン・ジュバット(通称ジョンカー)通り、そして並行するトゥン・タン・チェン・ロック(通称ヒーレン)通りは、見事なショップハウスの景観。ここは約400年前にオランダ人が形成した町で、もっとも古い建造物は17世紀にもさかのぼります。身分によって住む場所を区分したのも特徴で、ヒーレン通りには豪華で大きなショップハウスが多く、ジョンカー通りは比較的庶民的な造りになっています。もちろん、どちらも間口は狭く、奥行きが広い構造です。
オランダ語で「高貴な人」という意味を持つヒーレン通り。プラナカン文化を見学ができる「ババ・ニョニャ博物館」に立ち寄ったら、「マラッカ・ハウス」へ。昔はここで暮らしていたオーナーが現在はアンティークショップとして営業。時代が巻き戻ったかのような場所です。
マラッカ・ハウス
プラナカンが代々暮らした実際の邸宅が、そのままの状態でアンティークショップに。レトロな小物が並ぶ1階の中央部分に降りそそぐ自然光が実に幻想的で、タイムスリップをしたような気分になる。
70, Jalan Tun Tan, Cheng Lock, Melaka
ショップハウスの特徴的な景色
旅情をそそる町ジョージタウン / カラフルな古都マラッカ