マレーシアは名建築の宝箱。熱帯の気候、多民族のおりなす文化的な多彩さ、また施主と建設技術者の奮闘は、多くの魅力ある建築を生み出しました。それぞれの建物にはマレーシアの社会や歴史、日々の暮らしがよく表れています。また著しい経済成長は、新しい建築を次々に生み出しています。
ここでは、マレーシアの建築の魅力とともに、それぞれが建てられた時代や背景、その見どころに迫りたいと思います。
その1 マレーシア国立モスク:緑と水をまとう白亜の空間
名称:マレーシア国立モスク (Masjid Negara Malaysia)
設計者:連邦政府・公共事業局 (Jabatan Kerja Raya)
国立モスクはマレーシアで、もっとも美しい名建築の一つだと思います。KTMクアラルンプール駅の西側に建つ、マレーシアを代表するモスクです。ここで、一万人に近い人々が祈ることができます。建築後60年弱にもなりますが、いまなお斬新です。
鋭角的な塔のミナレットと、大きな星形の傘を伏せたかのような、スカイブルーと白亜の大屋根が目を引きます。それらを水平に広がる屋根がつないでいます。
古くはマレーシアのモスクは、例えばマラッカでは四角錐を重ねたような屋根がかけられていました。その後、玉葱型のドームを掲げてカラフルな色づかいの意匠が多くで選ばれていました。そんな中、この白亜の国立モスクの斬新さは時代を超えています。
国立モスク建設に続いて国内各地に建設された州立モスクでも独自の建築デザインが目指されました。国立モスクはその先鞭ともなりました。
※ 【短縮版】 本記事は期間限定公開につき、2022年12月25日にて第1回「マレーシア国立モスク」本編公開を終了し、以降「短縮版」として掲載しております。
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宇高 雄志(うたか・ゆうし) 兵庫県立大学・環境人間学部・教授
建築学を専攻。広島大学で勤務、シンガポール国立大学、マレーシア科学大学にて研究員などを経て、現職。都市や建築空間にみる多様性と調和について研究しています。学生時代から様々な建物を求めてアジア諸国を放浪。マレーシアの多様な民族の文化のおりなす建築の多彩さに魅かれています。ジョホール州に半年ほど、その後、ペナン州に足かけ3年間滞在しました。家族のように思える人とのつながりが何よりの宝です。(ウエブサイト:https://sites.google.com/site/yushiutakaweb/nyusu)
※ 本コラム「マレーシア名建築さんぽ」(著者:宇高雄志)は、最新版のみ期間限定掲載となります。写真、イラスト等を、権利者である著者の許可なく複製、転用、販売などの二次使用は固くお断りします。
*This column, “Malaysia’s Masterpieces of Architecture” (author: Prof. Yushi Utaka) will be posted only for a limited period of time. Secondary use of photographs, illustrations, etc., including reproduction, conversion, sale, etc., without the permission of the author, who holds the rights, is strictly prohibited.