建築

マレーシア名建築さんぽ #6 クアラルンプール駅(短縮版)

マレーシアは名建築の宝箱。熱帯の気候、多民族のおりなす文化的な多彩さ、また施主と建設技術者の奮闘は、多くの魅力ある建築を生み出しました。それぞれの建物にはマレーシアの社会や歴史、日々の暮らしがよく表れています。また著しい経済成長は、新しい建築を次々に生み出しています。 

ここでは、マレーシアの建築の魅力とともに、それぞれが建てられた時代や背景、その見どころに迫りたいと思います。

クアラルンプール駅(左:KTMB本社ビル)(イラスト:©︎宇高雄志)

その6 クアラルンプール駅:往年の玄関口

名称:クアラルンプール駅 (Kuala Lumpur Station)
用途:鉄道駅(他、元・宿泊施設、事務所など併設)
設計:公共事業局。アーサー・ヒューバック(Arthur Benison Hubback)ほか
事業主体:マラヤ鉄道(KTM: Keretapi Tanah Melayu)
位置:Jalan Sultan Hishamuddin, Kuala Lumpur
竣工:1911年
建築面積:2階建て(中間階あり)
構造:駅舎本屋:鉄骨、木、煉瓦など混構造、ホーム上屋:鉄骨造(鋳鉄)


「オールド」ステーション

クアラルンプール国際空港からの空港特急列車(KLIA Ekspres)。空港から30分ほどの乗車で、斬新なデザインのKLセントラル駅に到着します。ただし、こちらは2000年代になってから開業した新駅です。

「元祖」のクアラルンプールのターミナル駅は、しばしば「オールド」ステーションとも呼ばれる、クアラルンプール駅のこと。この駅は英領マラヤ時代に建築された白亜の建物です。随所にラジャ・スタイルの様式をまとうレースの織物のような美しさ。また列車の到着するプラットホームも広く屋根も高く架かっています。

その佇まいは、大都会クアラルンプールのみならず、まさしくマレーシアの玄関口で華麗かつ威風堂々としています。旅行サイトのランキングでは、パリの駅などに並んで、世界で最も美しい駅舎の一つに数えられるそうです。なによりも、めまぐるしく開発がすすむKLで、この駅舎が、ホームの上屋もふくめて、ほぼそのまま残っていることは貴重どころか奇跡にも思えます。


写真、イラスト:宇高雄志


※ 【短縮版】 本記事は期間限定公開につき、2024年4月14日にて第6回「クアラルンプール駅」本編公開を終了し、以降「短縮版」として掲載しております。


宇高 雄志(うたか・ゆうし) 兵庫県立大学・環境人間学部・教授
建築学を専攻。広島大学で勤務。その間、シンガポール国立大学、マレーシア科学大学にて研究員。その後、現職。マレーシアの多様な民族の文化のおりなす建築の多彩さに魅かれています。なによりも家族のように思える人のつながりが宝です。(Web:https://sites.google.com/site/yushiutakaweb

建物によっては一般公開されていない部分もあります。ご訪問の際には事前に訪問先の各種情報をご確認ください。

※ 本コラム「マレーシア名建築さんぽ」(著者:宇高雄志)は、最新版のみ期間限定掲載となります。写真、イラスト等を、権利者である著者の許可なく複製、転用、販売などの二次使用は固くお断りします。
*This column, “Malaysia’s Masterpieces of Architecture” (author: Prof. Yushi Utaka) will be posted only for a limited period of time. Secondary use of photographs, illustrations, etc., including reproduction, conversion, sale, etc., without the permission of the author, who holds the rights, is strictly prohibited.

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