ごはんFOOD

食卓から、世界へ[WAU No.12記事]


イブラヒム会長(左手前)と家族。2003年、ペナンのご自宅にて

マレーシアでトップクラスの食品会社、「デウィナ・フード・インダストリーズ」。創業者は、ダト・スリ・イブラヒム・ビン・ハジ・アハマド氏(以下、イブラヒム会長)。マレーシアの元首相であるアブドラ・バダウィ氏を兄にもつ、エリート家系の人物です。2012年に、海外初の法人として日本法人「ブラヒムフードジャパン」を設立。マレーシア料理のすばらしさを日本の人に伝えたい。その思いの原点には、ある日本人との関わりがありました。

ライフスタイルの変遷

今から40年ほど前、マレーシアで売られていたスパイスは、粒状(ホール)のものでした。料理に使うには、まず、水洗いし、天日で乾かしてからフライパンでからいり。水分がしっかりとんだら、バトゥギリンという石臼でひいて粉状(パウダー)に。熱した油でよく炒めて香りを立たせ、それからようやく、肉や魚、野菜などの具材や水分を加えて煮込む……という、たいへん手間のかかる作業でした。ひとつの料理を作るのに、3時間以上はかかったそうです。

その後、粉状のパウダー・スパイスがうまれ、「カレーパウダー」「ルンダンパウダー」のように料理に合わせたミックス・スパイスも登場。そして1986年、マレーシア初のレトルト食品会社として、「デウィナ・フード・インダストリーズ」が創業。「ブラヒム」というブランド名で、クッキングソースの販売がスタートしました。具材を加えるだけで、本格的なマレーシア料理を作ることのできるブラヒムのクッキングソースは、多忙な生活をおくるマレーシア人の願いからうまれたのです。

台所で過ごした時間

「子どものころ、母の料理の手伝いをよくしました」と話すイブラヒム会長。「幼いころから料理に人一倍興味があり、包丁でミンチ用の肉をひたすら細かく刻むのが、僕の好きなお手伝いでした」と語ります。その時の経験が、今の仕事につながっているのです。

日本人の技術者、アベ氏との出会い

 実は、デウィナ・フード・インダストリーズの創業には、ある日本人が深く関わっています。当時、アメリカで軍用として開発されたレトルトパウチは、日本人技術者のアベタツノブ氏によって商品化。イブラヒム会長は、日本に何度も足を運んでアベ氏と交渉し、パートナーシップを結ぶことに成功!この高度な技術力によってブラヒム商品は誕生し、30年経った今もなお、事業の核となっています。

 

人気ナンバーワンはルンダンペースト

 さて、多数のブラヒム商品のなかで、一番人気は「ルンダンペースト」。スパイスの香り高く、濃厚な味に仕上がるため、本国マレーシアだけでなく、お隣のインドネシア、そして欧米でも人気とのこと。

イブラヒム会長のおすすめは「フィッシュカレーソース」。鮭の頭を加えて、フィッシュヘッドカレーにするのがお気に入り。また、現在オーストラリア在住の次女アジザさんは「ハニーチキンソース」を家に常備。「フライパンで鶏肉を焼き、最後にソースをからめるだけで、マレーシアの味になるんです」と教えてくれました。

創業から30年、革新的な技術で、マレーシアの伝統の味を守る同社。「僕らの誇りであるマレーシア料理を世界中の人に知らせたい」。イブラヒム会長の挑戦はまだまだ続きます。


文・撮影:Oto Furukawa(Malaysia Food Net
写真提供:Brahim’s Food Japan

[この記事はWAU No.12(2017年6月号)から転載しています。]

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