ツーリズム

まるで“大河ドラマ”なマレーシア国立博物館

1963年に開館したマレーシアを代表する博物館。先史時代、中世、植民地時代、戦中から独立、という4つの時代区分にそってコレクションが展示。鑑賞後は、タイムマシーンで時間旅行をしたような、そんな壮大な気分になれる歴史好きにはぴったりの場所です。


ドラマチックな歴史ポイント、4つの時代の動きに注目しよう。


1 まずは先史時代。

ケダ州のプジャン渓谷の繁栄。

はじめは「Pre History:先史時代」という部屋です。地球の地殻形成からヒトの初期文明までをたどります。旧石器時代〜新石器時代、石器→銅器→鉄器と変わる道具の変遷。石の指輪や貝のイヤリングなど、交易の贈りものとして使われた宝飾品も展示されています。

見どころは、マレー半島ケダ州のブジャン渓谷で発掘された遺跡。文献に残っている歴史上初の集落であるプジャン渓谷は、ヒンドゥー教の影響を大きく受けていたとみられています。

また、マレー半島ペラ州のレンゴン渓谷で発掘された人骨「ペラ・マン」のレプリカにも注目。約1万~1万1千年前の東南アジア最古の人骨で、ほぼ無傷で残されているという貴重な歴史遺産です。

プジャン渓谷は、シルクロードの代替ルートとして東南アジア初の港だったといわれている。ヒンドゥー教由来のガネーシャ像などが発掘された。
ペラ・マンの現物は、レンゴン考古学博物館(ペラ州イポーより車で約2時間の場所)に展示されている。

2 次に中世。

王国の繁栄と行政の確立。

第2の部屋「Malay Kingdoms:マレー王国」は、およそ15世紀までの各地に存在した王国が紹介されています。なかでも歴史の鍵をにぎっているのが、国際貿易て栄えたマラッカ王国。マレー王国によるマレー文明の発展を軸に、組織的な行政システムも構築していたことが、数々のコレクションから見てとれます。

見どころは、2つの生き物を象徴的に組み合わせた石像「MAKARA マカラ」。さらに、マレー社会の権威の象徴である短剣「Kris クリス」の展示にも注目です。

海に生きる魚と陸に生きる象の両方を表現したマカラ。かつて建物の玄関に飾られていた。
短剣クリスは、権威の象徴であり、現在も男性の正装の一部になっている。

3 植民地時代と産業革命。

見どころはゴールデンフラワー。

第3の部屋は「Colonial Era:植民地時代」。ポルトガルによる1511年のマラッカ征服から、オランダ、イギリス、日本によって支配された時代をたどります。植民地支配が、マレーシアの経済や社会にどのような影響を与えたのか。たとえば、産業革命後にヨーロッパで需要が高まった錫(すず)は産業化され、ゴムの木やアブラヤシの木などのプランテーション農業が経済に組み込まれました。

見どころは、マレー半島北部の州王がシャムの王様に贈った「ゴールデンフラワー」のレプリカ。ヨーロッパだけでなく、大国シャムの存在もマレーシアに大きな影響を与えていたのがわかります。

ゴールデンフラワーは、その名のとおり金で作られた花の彫刻。シャムとの友好関係を築くために、3年ごとに贈られていたという。


4 独立、そして現在。

陛下の任命書の原本が展示。

そして最後の部屋は「Malaysia Today:マレーシアの今」と称し、植民地支配からの脱却、1957年のマラヤ連邦の独立、1963年のマレーシア建国、そして現在にいたるまでの時代の流れと成果を紹介しています。

見どころは、独立の際の任命書の原本。また、近代産業や日本との関係についても展示されています。


ここまでが展示の様子。もうひとつ、建物そのものにも注目!


マレーシア国立博物館は

建築家ホー氏の想いが込められた建築物。

4年という長い歳月をかけて建築された国立博物館。“切妻”とよばれる三角屋根が中央にあり、そこから両側に平行して屋根が続くデザインが特徴的です。マレーシア人建築家のホー氏が、マレー半島北部ケダ州にある集会施設「バライ・バザール」にインスピレーションを得て設計したもの。集会施設という人が集う場所をモチーフにしたのは、マレーシアの民主主義を表現しています。

ホー氏はマレーシア各地を巡って様々な建築物を調査した結果、バライ・バザールのデザインに惹かれたという。
外壁には、約35メートルに渡る巨大な絵が描かれている。マレーシアの歴史や手工芸品が現されている。

WAUおすすめ情報:日本語ガイドツアー

毎週金・土の朝10時より、日本語ガイドツアー(約1時間/予約不要・入場料のみで参加可)が開催。専門の知識を持ったガイドによるツアーで、編集部Otoが訪問したときは、関西出身の鷲津さんが自作の資料を使って日本語で楽しく案内してくれました。マレーシアへの理解が深まる貴重なツアーをお見逃しなく。

■National Museum / Musium Negara Web サイトはこちら。
住所:Department of Museums Malaysia Jalan Damansara, 50566 Kuala Lumpur
開館:9:00〜17:00 (最終入場16:30)
休館:ハリラヤ・プアサ(1日目)、ハリラヤハジ
入場料:大人RM5、子供RM2
(写真)日本語ガイドツアーを担当して下さった鷲津さん(左)と受付のスタッフ。ほか数名の日本人ガイドの方が、趣向を凝らして、マレーシアの歴史を案内して下さいます。

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