Documenting Stories Against the Colorful Urban Backdrop
無表情に見える都会のビル群。時間帯によって太陽の光の差し込み具合が変わり、建物が見せる表情が変化する。意識を変えて見てみると、違った表情を見せることに気がつきます。マレーシアの町で見る民族衣装や建物がカラフルで明るいはっきりとした色の印象が強いのは、南国の太陽の光が強いからでしょうか。
「クアラルンプール(KL)の〝インスタ映え〞スポットには、2つのタイプがある」と、KLの都会の表情に魅せられた写真家パトリックさん。「エルミナ・シティのカラフルなレインボーブリッジのように、初めから写真映えを意識して建設されたスポット。もうひとつは、昔からその場所にある建物。一見古ぼけて見えるけど、角度を変えてみると、イケてる表情。プタリン通りの古いショップハウスの裏手から見上げる建設中の超高層ビル〝PNB118〞のように、その両者のコントラストがおもしろい」。建築物のポートレート撮影を専門とし、ふとした瞬間に偶然見つける町の物語をフレームにおさめます。撮影のポイントは、「写真を見る人がその場に自分自身を投影できるよう、被写体に人物を加えることで写真がより面白くなる」とも。
カラフルに塗り替えられたバトゥ洞窟のヒンドゥー寺院へと続く階段。礼拝に向かう信者たちの衣装や胸にする願いも十色。ファインダーを覗きながら、色とりどりの物語に思いを馳せるのも、また楽しいのです。
文/上原亜季 Aki Uehara
写真/Heart Patrick
Heart Patrick
ハート・パトリック
KL生まれ。約12年前に旅の記録を撮るためにカメラを手にし、現在はプロの写真家として活躍。おもに建築物、インテリア写真を専門に手がける。時間を見つけて街を探索し、クアラルンプールの新しい景色を探し出しては、そこに映し出される物語を写真におさめている。
https://www.instagram.com/heartpatrick