ジャンル別食名鑑

ボルネオの地酒、トゥンプン

マレーシア人とお酒との関係性は人によってそれぞれ。宗教上の理由でお酒を飲まないイスラム教徒がいる一方で、ボルネオ島の先住民族では、お祝いごとにはお酒が必須という人々もいます。


ボルネオ島の町コタキナバルのレストランで、めずらしいお酒に出会いました。「トゥンプン Tumpung」という米のお酒です。

カダザン・ドゥスン族の料理を提供するレストラン「My Native Sabah」

これがトゥンプン。

たとえるならスタバのフラペチーノが入っているプラカップ。あれの2倍ほどのサイズの容器に麹菌(ラギ)をまぶしたご飯(炊いた陸稲)が入っている。このトゥンプンは仕込んでから約2ヶ月経ったもの。1ヶ月後から飲むことができ、水を加えなければ長期保存が可能。店ではRM15で販売されていた

これがどうやって“飲むお酒”になるかというと、飲む前にじぶんで水を加え、15分ほど待てばできあがり。つまり、お酒の“もと”に水を加えて作る即席酒のようです。

さっそくトライしてみました! 水を注いでみると、ご飯が容器いっぱいに詰まっているので、意外にも水があまり入らない。およそ60mlという少量で容器の縁すれすれになります。15分ほど待って、専用のストローでおそるおそる吸ってみると、おっ、おっ、おーーおいしい! 匂いはまったくしないし、どぶろくのような独特な感じもなし。意外にすっきりした口あたりで、あと味はふくよか。ほのかに甘い日本酒のようです。予想していたよりずっと上品な味で、びっくりしました。

ちなみに専用のストローは、アヒルのくちばしのように平らに閉じているので、そのすき間からちょっとずつお酒が上がってきて、まさにちびちび飲める。ご飯が自然にろ過され、液体だけ飲めるのもナイスアイデアです。店主のサンドラさんいわく「水を加えるのは3回までOK」とのことで、計算すると60ml×3=180ml。ちょうど1合のお酒がのめるんですね。アルコール度数は10~11%とのことでしたが、感覚としては、そんなには無いかな。3回加えて飲み干しましたが、悪酔いすることなく、気持ちがいいお酒でした。

ちなみにトゥンプンはひとり用(カップごとに提供される)のお酒。大量に甕で仕込むと「タパイ Tapai」という名前になります。まったく同じ製法とのこと。

タパイやトゥンプンは、ボルネオ島の収穫祭や村の結婚式、また家族が帰省したときなどにふるまわれます。同じ村の酒作りの名人から購入することが多く、家の縁側で男性たちが車座になり、夜更けまで飲み明かすこともよくあるそうです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です