日本と縁が深いマレーシア華人一家を、マンガで綴る新連載コーナー「陳家物語(たんけものがたり)」。12才離れている兄弟ふたりがタックを組んで4回にわたってお届けします。初回はおいしいごはんから!
このマンガを描いているのは何を隠そう僕の弟、Windz。子ども時代の彼は寝ても覚めてもマンガを読んでいました。僕ら中華系が家族団欒の象徴である円卓で食事をしている時でもマンガに顔を埋めていた彼。それを寛容さで包んでいた両親、苦笑しているおばあちゃん…これが僕ら陳家によくあった食事の風景。
時を経て、幼かった弟が憧れのマンガの国日本で漫画家になった!彼の作品は全て読ませてもらいましたが、彼が描くごはんが中でも一番好きです。それは日本留学中に膨らむばかりのマレーシア料理への恋しさがスパイスとして効いたからかもしれません。そして「食べてみたい!」とせがむ日本の友人のために彼はせっせと料理の腕を振るってきました。肉骨茶(バクテー)つくったのはもう100回をくだらないとか。今回はWindzの描くソールフードとともに、その料理にまつわる彼の思い出を紹介しましょう——
バッツォミー|肉砕麺|
Minced Pork Noodles
醤油で味付けされた豚の挽き肉を絡めて食べる地味な焼きそば。中学校のクラスメイトのお父さんが夜市でやっている店によく通っていた。
プロウンミー|蝦麺|
Prawn Mee
エビづくしの香ばしいスープ麺。お気に入りの高速バスターミナルの屋台で食べるときはいつも汗ダラダラに。
アイスクリームサンド|
Ice Cream Sandwich
バイク乗って「リーンリーン」と鳴らして移動販売するヒゲおじさんはアイスをコーン、ビスケット、もしくはパンで挟んでくれる。刻んだピーナッツをふりかけてくれるときもある。
コピティアムの朝食|
Kopitiam Breakfast
近所の喫茶店のコピオ・コソン(ブラックコーヒー)、半熟卵、カヤトースト。醤油と胡椒をかけた半熟卵が大好きで、一番に食べる。
ロティ・テロー|
Roti Telur
ロティ・チャナイの卵入り版。もちっとした食感でちょっぴり贅沢気分。朝食の定番だったが、夜食で食べるのも好き。
ナシレマ|
Nasi Lemak
ココナッツミルクで炊いたごはんに辛子味噌のサンバル。学校休みの日は朝食にこれを2〜3パックも。母の好物でもある。
★みなさんの思い出の一品とそれにまつわるエピソードを取材、マンガ化して書籍化するクラウドファンディング・プロジェクト「ONION BOOK」まもなくスタート!詳細はWEBでhttps://windztan.com/
マンガ:
Windz Tan
(陳維哲)漫画家。88年生まれ。09年来日。文星芸術大学マンガ専攻にてちばてつや氏(代表作『あしたのジョー』)のもとで学んだのち、ビストロの調理補助として修業・料理研究。料理漫画以外もファンタジーから戦争、ギャグ、少女マンガまで。
https://windztan.com
文・構成:
TANJC
(陳維錚)デザイナー、メディアアート作家、大学講師。12才離れた実兄だが、Windzと瓜二つ。96年来日。東京→山形→京都。舞台撮影から、映画VFX、グラフィックデザイン、WEBまでマルチにこなす。WAUは創刊からデザイン担当。
https://tanjc.net