ごはんFOOD

なぜごはんが青い?

マレーシア食文化のナゾに迫る!

 WAU26号のニョニャ料理特集で紹介した、ごはんの青い印。マレーシアには、ニョニャ料理以外にもマレー半島北部エリアで好まれている青い料理があります。日本では食欲をそそらない色といわれている青色ですが、マレーシアではなつかしい故郷の味の象徴なのです。

【マレーシアの代表的な青いごはん】

Nasi Kerabu

【ナシクラブ】「ナシ」はご飯、「クラブ」はサラダ。もやしなどの野菜、発酵魚のソース、ココナッツフレークなどをご飯に混ぜたもので、マレー半島東北部のクランタン州、トレンガヌ州でよく食べられている。


Nyonya Nasi Lemak

【ニョニャ・ナシレマッ】ココナッツミルクで炊いたご飯にサンバルを混ぜて食べる。青*はマラッカ発祥であるニョニャ料理の印(*下記3つの料理も同じ意味)


Nyonya Chang

【ニョニャ・ちまき】中国ルーツのちまき。ニョニャ・スタイルは、コリアンダーなどのさわかなスパイスをそぼろ肉に加える


Nyonya Kuih Seri Muka

【ニョニャ・クエ・スリムカ】肉とじゃがいもの煮こみ。味つけに豆鼓、しょうゆ、玉ねぎを加えるため、味はもち米を型に入れて固め、上にココナッツミルクのクリームをのせたスイーツ。ニョニャ・スタイルは青のマーブル


元祖、映え料理。人々の目を惹くための青色

食堂街を歩いていると、青い米を店頭に並べた店もあった。ナシクラブだった。―中略―食べてみたが、ごく普通の米だった。味というより、見た目を楽しんでいるようだった。

『週末シンガポール・マレーシアでちょっと南国気分』(下川 裕治/朝日新聞出版 2016)

 旅行作家、下川裕治さんの著書にあるように、マレーシアの町を歩いていると、思わず二度見したくなる、鮮やかな青色のごはんを見かけることがあります。マレー半島東北部、クランタンやトレンガヌ地域でよく食べられている青いごはんが「ナシクラブ」(上記)。バタフライピーの花で青く色づけしたご飯に、野菜やハーブを混ぜて食べるサラダライス。あっさりしているので、暑い気候下でもさらっと食べることができ、辛さ控えめで胃に負担が少ないので、断食明けの夕食に好んで食べるという人もいます。  

 もうひとつの青いごはんは、マラッカ発祥のニョニャ料理(*上記)。もち米のスイーツ「スリムカ」「プルッ・タイタイ」。また、ちまきも青い印をつけてニョニャ・スタイルであることをアピール。最近では、ご飯が青いマーブル模様の「ニョニャ・ナシレマッ」もあります。

 さて、これらの青色は、味にはまったく影響がなく、下川さんがいうように見た目だけ。つまり、あえて青色をつけるのです。なぜナシクラブが青になったかというと、一説には、食欲のない子どもの興味をひくためにお母さんが工夫したのが始まりだとか。またニョニャ料理の青は、プラナカン文化のお葬式のカラーである青色を料理にとり入れ、非日常感を出すようにしたのでは、という人もいます。 

どうやって青色にしているのか

青色の素、バタフライピー(Bunga Telang)。朝顔のような可憐な花で、乾燥してハーブティーにも
このように花を煮出した青い汁をご飯にかけてざっくり混ぜればマーブル状に。また、生米の状態で青い汁に浸し、全体を均一に青く色付けすることもある
ナシクラブ用のご飯。こちらは、全体的にまんべんなく色付けされている
マラッカで発見した青いオンデオンデ。甘い黒蜜入りのお団子で、米粉の生地に青色の汁をねりこんで鮮やかな色に

カラフルごはん百花
青だけではありません。カラフルごはん大集合!

 マレーシアには、青以外にも、黄、緑などカラフルに料理を色づけする文化があります。たとえば、おめでたい日にはターメリックで黄色に色づけした「ナシクニン」。バジルやミントのスープをご飯にかけることで、自然に緑色に染まる「ルイ茶」。パンダンリーフというハーブの汁の影響で、淡い緑色の姿のお菓子もたくさん。焼きうどんに似たホッケンミーは、調味料に黒醤油を使い、あえて黒く仕上げることも。これらはどれも、見栄えを意識した料理。なぜなら、ひしめきあう屋台、軒を連ねる食堂の店頭に並ぶ無数にある料理のなかから、行きかう人々の注目を集める必要があるから。他店との差別化のためにうまれたカラフルなごはんが、マレーシアの町に彩を添えています。(*ニョニャとは、中国人移民がマレー半島で現地化した人々であるプラナカンの女性をさす)


Nasi Kuning

【ナシクニン】マレーシア全土で、結婚式やラマダン明けの大祭、成人の儀式などで食べられるお祝い料理。ターメリックで色付けしたもち米で、牛肉の煮込み「ルンダン」と合わせることが多い。


Nasi Minyak

【ナシミニャッ】マレー半島北部の料理。ミニャッとは油のことで、バターオイルの一種、ギーを加えて炊いたご飯。結婚式でよく食べられ、ポイントに赤、黄、緑など色づけ。「天気雨ご飯」とよぶ。


Nasi Dagang

【ナシダガン】マレー半島東北部の料理。ブラウンライスとよぶ玄米ともち米をミックスしたご飯に、カツオのあっさりカレーを合わせる。小豆色の玄米がフォトジェニックな印象。


Rei Cha

【ルイ茶】中国系の人気料理。多種の野菜をのせたご飯に、ミントやバジルで作ったハーブ・スープをかけ、お茶漬けのようにして食べる。さわやかな香りに、コク深い緑のスープが絶品。


番外編 Special Menu
日本でも食べられます!(限定提供)


レインボーナシレマッ、マレーアジアンクイジーン渋谷店にて

定番のナシレマッをカラフルに。ターメリック、バタフライピー、ローズ、ご飯の白を合わせて、マレーシアの国旗カラー! おかずも豪華。
(1800円 / 要予約 / 03-3486-1388)



文・写真/古川音 Oto Furukawa

1 Comment

  • taro 2022-11-01

    thankyou

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