ツーリズム 音楽

【体験レポ】マレーシア、ボルネオの音楽フェスRWMF

毎年6月、ボルネオのサラワク州で開かれる国際的な音楽フェス「レインフォレスト・ワールドミュージック・フェスティバル(RWMF)」。第26回開催の今年は、世界の多様な音楽をテーマに、世界各地から総勢199人のアーティストが集結。WAU編集部の古川 音(Oto)が実際に現地を訪れ、フェスを初体験してきました!※レポートの最後に日本からの参加方法も紹介しています。


ボルネオの自然に包まれた音楽の楽園

会場は、サラワク州で暮らすさまざまな民族の伝統家屋が展示されているサラワク文化村 Sarawak Cultural Village。フェス期間中は、家屋自体が音楽ステージやワークショップの会場になっている

6月24日(土)、RWMF開催2日目にサラワク州クチン空港に到着。会場のサラワク文化村までは車で約2時間、車窓から見えるパームヤシの畑、そこに降り注ぐまばゆいほどの強い陽射しで、南国のフェスに来た〜!と実感。

今回はメディアとして参加させて頂いているので、メディアセンターが設置されている「ダマイビーチリゾート」にチェックイン。フェスのリストバンドをつけて、いざ会場へ(ダマイビーチリゾートとサラワク文化村は徒歩で15分程度。フェス期間中はシャトルバスが運行している)。

風になびく2つの旗。左側はサラワク州の州旗
「サントボン」という名前の山に囲まれた会場。都会とはまるで別世界
メインステージ近くに会場の地図とスケジュール版が設置。中央の湖を取り囲むように8つのアクティビティ会場とメインステージがある

スケジュールを確認すると、毎日14時より招待アーティストによるワークショップが開催され、19時から屋外のメインステージでコンサートがスタート。真夜中まで続きます。

音楽フェスそのものが初体験ということもあって、会場に入っていちばん最初に頭に浮かんだ言葉は「ここは音楽の楽園!」ということ。なぜなら、いたるところに音があり、リズムがあり。アーティストと観客が混じり合って楽しんでいるこの空間は、さっきまでいた場所とはまるで別世界。言語も国籍も年齢差も性差も関係がなく、ただあるのは、音楽が呼び覚ましてくれるエネルギーの鼓動のようなもの。そのグルーブ感たるや今まで味わったことのないもので、シンプルにいうと、いやもう、この空間にいるだけですごく楽しい!のです。


盛り上がりは最高潮。マレーシア・レコードを達成!

さて、会場を歩いていたら、WAUでもおなじみのカムルル・フシンさんにばったり! 伝統音楽家のカムルル・フシンさんは「Geng Wak Long」のメンバーとして出演。毎年RWMFに招待されている常連アーティストです。

クランタン州の伝統楽器のワークショップを主催するカムルル・フシンさん(中央の赤いTシャツ)

ワークショップの場所はどこも趣向が凝らされていて、伝統家屋の縁側のような風が心地いいスペース、山の民族が暮らしていた高床式のロングハウス内、また森の中からステージを見下ろすような構造になっているところもありました。

イバン族のロングハウスで行われていたワークショップ
ボルネオの熱帯雨林も、音楽と呼応しているように感じる

そして今年、RWMFでは歴史に刻まれる記録を達成。観客による即席奏者を含むパーカッショニストが3日間の合計で2763人にのぼり、マレーシアでの音楽祭の歴代記録No.1に!

ペットボトルでもうちわでも何でもOK。アイデア豊かな道具を使って、観客も一緒にリズムを刻む
この大記録の立役者でもある日本人パーカッショニストの増永 久美さん
記録を達成し、サラワク州観光局長を囲んでみんなで記念撮影

フェス飯はマレーシア料理の宝庫

さて、お腹が空いたので、フードコーナーを散策。会場のあちこちに出店があり、ハンバーガーなどの西洋グルメから、南国果物のフレッシュジュース、アイスクリーム、そしてサテーやアヤムゴレン(唐揚げ)などのマレーシア料理が並んでいます。どれもおいしそう!

購入したのは、イカ焼きの「ソトンバカール」、厚揚げ「タフゴレン」。値段はさすがのフェス価格で、町で食べる値段に比べると3倍以上ですが、量が多く、味もとても美味というクオリティの高さに納得。

「ソトンバカール Sotong Bakar」RM25。コクのある甘辛のしょうゆダレをかけたイカ焼き。地元メディアからの人気No.1
「トフバガディル Tufu Bagadil」RM15。厚揚げのなかにカレー味のじゃがいも入り。豆腐とじゃがいもの合体が新感覚
「バンブーチキン(ご飯付き) Ayam Pansoh」RM18。サラワクの伝統食がフェス飯に登場。鶏肉の蒸し煮料理で、タピオカの葉入り
「ドラゴンフルーツジュース Dragon Fruit Juice」RM12。栄養価が高いといわれるドラゴンフルーツのフレッシュジュース

常夏のマレーシア。日中は30度を超え、ギラギラの太陽下では熱中症に要注意なので、水分をいつもより多めに取って、できるだけ日陰を探して過ごします。そこで立ち寄ったのが、サラワクの伝統工芸品の販売所やハンドメイドのワークショップのエリア。RWMFは、音楽だけでなく、ボルネオの伝統文化に触れることもできます。

天然の葉を編んだ工芸品はゴザや手さげバッグで活用される
温かみのある工芸品はおみやげにもぴったり

メイン会場でコンサートを楽しむ

19時前、メイン会場に移動。風が心地よく、暑さもだいぶんやわらいでいます。

ステージは中央と右の高台の2つ。大きなスクリーンが3台設置されている
ステージ近くは踊る人たちで埋め尽くされているが、後方や丘の上には座って見ている人もいる

ここからステージの様子を写真で紹介しましょう。

世界で活躍する地元出身の著名なシンガーソングライター、Zee Avi ジー・アヴィ
ボルネオの伝統とモダンな音楽の要素をミックスして演奏するバンド、Sada Borneo サダ・ボルネオ
タイ伝統楽器演奏の技に見惚れる! タイ人のバンド、ETHNO THAI FUSION SOUND BAND
会場が多いに湧いた地元出身のミュージシャン、Tuku Kame ツクカメ
クランタン州の伝統音楽や舞踊を披露するチーム、Geng Wak Long ゲン・ワッ・ロン

サラワクの伝統楽器をメインに、モダンな曲調で会場を沸かせた地元出身のバンド、Meruked メルケッド 

印象的だったのは、カムルル・フシンさん率いる「ゲン・ワッ・ロン」の演奏。チャルメラのような音色のスルナイの音が響き渡ると、観客がどっと沸き、パフォーマンスのラストの曲「ディキール・バラット」では、おなじみの「ワウ・ブラン〜♪」のフレーズで最高潮。手の振り付けも合わせて会場一体が大合唱。最高のパフォーマンスでした。

クランタン州の影絵芝居で登場する「生命の樹(ポホン・ブリンギン)」も登場

また、2016年にWAUでインタビュー した「メルケッド」も会場を大きく沸かせていました。バンドを率いるボーカルのアッシュさん、伝統楽器サペを演奏するギデオンさんの音色が素晴らしくて、もう惚れ惚れでした!

亡き母が遺してくれたサペに惹かれ、独学で演奏の技を磨いたギデオンさん。多くのファンを沸かせていた
フェスの最後、フィナーレの様子

はじめは、海外での音楽フェス参加ということでドキドキしていましたが、英語での会場案内図や店の方の説明はとてもわかりやすくて親切で、外国人でもスムーズに楽しめました。また、ワークショップやステージプログラムの充実、メインのコンサートは夜中12時までなので、めいっぱい楽しむには体力も大事です。ここでしか体験できない音楽体験は一生の財産。あらためて、ここは音楽の楽園だ!と思います。

写真提供:サラワク州観光局 Sarawak Tourism Board


参考資料: レインフォレスト・ワールドミュージック・フェスティバル RWMF 2023
・チケット代 入場料RM260~RM290/1Day(前売りや2日間通しPASSなど色々ある)
・シャトルバス(フリー) 
 クチン市内(The Hills Merdeka) → サラワク文化村
  9:00~20:00まで1時間間隔
 サラワク文化村(Damai Central Parking Aria) → クチン市内
  12:30~17:30まで1時間間隔、21:00、22:30、23:00、23:30、0:00、01:00

☆旅行者向け情報☆
日本から参加する場合は、現地旅行会社にチケット付きツアーを申し込むのが一般的。会場は、クチンの中心地から1時間ほど離れているので、クチン中心地から専用のマイクロバスで移動。なお、往復の移動なしで楽しみたいときは、数ヶ月前であれば、会場隣の「ダマイビーチリゾート」などの宿泊パッケージもあります。

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