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《ヤスミン・アフマド特集上映》シャリファ4姉妹、ピート・テオ来日!

マレーシアの伝説的な映画監督、ヤスミン・アフマド監督は2009年7月25日に51歳という若さで急逝。ヤスミン監督の没後10周年記念特集上映が7月19日からシアター・イメージフォーラム(渋谷区)にて始まり、ゲストとしてシャリファ・アマニさんら4姉妹と音楽家ピート・テオさんが来日しました。全員がヤスミン作品に登場するシャリファ4姉妹とピートさん、それぞれに想いを語り、ヤスミン監督がマレーシア社会に与えた影響がいかに大きなものであったか改めて感じることができました。

 

左から四女アルヤナ、長女アレヤ、次女アマニ、三女アレイシャ、後列ピート・テオ

 

ヤスミン監督のミューズとして知られるシャリファ・アマニは、まず「監督を失った喪失感はとてつもなく大きいけれど、ヤスミン監督の作品を日本で繰り返し上映され、彼女のレガシーと魂が生き続けていることはとても嬉しい」と挨拶。ヤスミン監督は、民族、宗教ごとの祭事に合わせてテレビCMを作っていたことでも有名ですが、「監督が亡くなって10年経ち、彼女のCMのテーマであった《Unity融合》《Love愛》《Kindness優しさ》を共感する心が社会で少し失われていることを危惧している」とも述べました。また、2018年、マレーシアで初の政権交代が起こったことにも触れ、「ヤスミン監督のCM、映画作品は、今の私たちの社会を形作った「原動力」であり、子供の頃に『細い目』を観た人々が大人になって、より良い未来を築くために一票を投じた。新政府が誕生した時、最初に思い浮かべたのがヤスミン監督でした。監督は、特定の政党や人種のためではなく、マレーシアという国のために戦った「戦士」だと私は思うのです。私たち姉妹も、女性で、大きな発信力のある映画人です。監督の遺産を引き継いで、社会に発信していくことを決めています。」と力強く語りました。

 

音楽家としてヤスミン映画に関わったピート・テオさんは、「『細い目』はあまりにもハッピーでおセンチすぎると感じ、最初はあまり気に入らなかったが、それと同時に、それまでに観たマレーシア映画の中で最も勇気のある作品だと思った」と言います。「当時の政治的状況から考えると、この作品はとても危険をはらんだ作品だったのです。そんな作品を作ったヤスミンに敬意を払い、仕事を共にするようになりました。僕自身にとっても、社会に対して発信するという転換期になった」と言います。『タレンタイム』で音楽を担当したピートは、「物語の中では、多宗教、人種、多言語、多様性が表現されているが、曲を作る上では、あまりそれらに捉われず、曲を手がけることを心がけた。マレーシアだけのストーリーではなく、「普遍的」であり「人間的」であること、それがヤスミン監督と共有したテーマだったからです」とも語りました。

 

長女シャリファ・アレヤは、「私たちの愛すべきオーキッドの少女時代、初恋を描いた『ムクシン』、私たちはその愛を感じ続け、13年間ずっとオーキッドの初恋という「愛」を祝い続けてきました。この特集上映はヤスミン監督が亡くなったことを記念するものなので、ほろ苦い気持ちでもありますが、今でも監督の愛を感じ、みんなで称え続けることができていることにとても感謝しています。」と挨拶。

日本も東京も大好きな三女シャリファ・アレイシャは、北海道で1カ月間、映画のワークショップを受けたことがあり、「日本の映画言語はとても美しいと感じています。そんな伝統がある日本でヤスミン作品が愛されていることを嬉しく思う。日本のファンと共にヤスミン監督が私たちに残してくれた人生賛歌、芸術を祝福することができるのはかけがえのないこと」だと語りました。

『ムクシン』の作品からもう13年が経ち大人の女性に成長した四女シャリファ・アルヤナは、「今でも人々は私のことを「オーキッド」、相手役を演じた男の子シャフィーのことも「ムクシン」と呼んでくれます。私たちもお互いに「オーキッド」と「ムクシン」と呼び合っています。もう何年も経ち、私も幼い少女ではありませんが、皆さんがこの作品を愛し続け、祝福し続けてくれることは、本当にヤスミン監督が望んでいたことだと思います。」と、感謝の意を表しました。

 

《民族衣装バジュ・クロン、バジュ・クバヤとヤスミン監督》

シャリファ4姉妹は、全員がマレーシアの民族衣装で華やかに記者会見に登場。そこにも、日常的にマレーシアの民族衣装「バジュ・クロン」を着用していたヤスミン監督への想いが込められていました。「イギリスで心理学を学んだヤスミン監督は、イギリス訛りの英語を話したけど、中身は真のマレー人で、それは民族衣装を着る彼女の姿にも表れていました。」と少しモダンなバジュ・クロン・ケダに身を包んだシャリファ・アマニ。伝統的なバジュ・クロン・ケダを着用していたのは、四女アルヤナ。長女アレヤは、少し丈が長めでゆったりとしたバジュ・クロン・パハンを着て、「ヤスミン監督は、フォーマルな場では体型にピッタリとあったニョニャ・クバヤを好んで着たけど、4人子供がいる私は“マミー・スタイル”」だと笑いを誘いました。三女シャリファ・レイシャは、水玉模様にフリルもついたシンプルなバジュ・クロン。マレーシア各州に特徴的なバジュ・クロンやクバヤがありますが、4姉妹は、少しモダンに、オシャレに着こなしていたのも印象的でした。

 

 

ヤスミン監督は、マレーシアの多民族・多言語社会を家族、恋愛、宗教などをテーマに、ユーモアを交えながら、ときにリアルなマレーシア社会に少し理想も盛り込んだ独自の世界観を描きました。今回の特集では、監督の長編全6作品に加え、遺作となった短編「チョコレート」を含む、15人の監督によるオムニバス映画『15マレーシア』も上映されます。

 

「伝説の監督 ヤスミン・アフマド 没後10周年記念 特集上映」は8月23日まで開催。ぜひ、この機会にヤスミン・アフマド監督作品をたくさんご覧ください!

 

【伝説の監督 ヤスミン・アフマド 没後10周年記念 特集上映】

日程:2019年7月20日 (土)〜8月23日 (金)
会場:シアター・イメージフォーラム(渋谷区)
上映作品:『ラブン』『細い目』『グブラ』『ムクシン』『ムアラフ-改心』『タレンタイム〜優しい歌』
『15 マレーシア』
公式サイト: http://moviola.jp/yasmin10years

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