「TAAF2023」にてアニメファン賞受賞
日本でも3Dアニメが注目
日本で「アニメファン賞」を受賞できたことには大変驚きました。日本はアニメ大国で世界中から注目される作品が溢れていますから。
SNSなどで日本のファンからのコメントを見ると、日本でも3Dアニメが浸透してきたことが伺えました。実は、メカアマトより前の作品『ボボイボーイ(BoBoiBoy)』を日本のマーケットに売り込んだ時には、3Dアニメはあまり日本ではウケない、という理由でうまく進みませんでした。しかし、ドラえもんやクレヨンしんちゃんなども近作は3Dアニメでしたし、日本のアニメ界にも変化が起き始めていると感じています。これは、私たちにとって良いサインです。
今回、受賞したことで日本でも私たちの作品が受け入れてもらえる、と自信がつきました。現在は、カートゥーンネットワークやNetflix で放映していますが、今年はもう1つ別の動画配信サイトでも配信される予定です。日本での露出をますます増やして、日本の子供達にも『メカアマト』を知ってもらえると嬉しいです。
日本語吹き替え版では、主役の少年アマト役を村瀬歩さん、相棒のメカボット役を松岡禎丞さんが担当するなど、日本で人気の声優さんを起用することができたことも日本のファン獲得に繋がりました。
歴史の町マラッカが舞台。
マレーシアらしさが随所に
メカアマトの舞台は、マラッカをイメージしています。マラッカは歴史ある町で、建物などは植民地時代の影響も色濃く残っている特別な場所です。首都クアラルンプールのような都会ではなく、田舎の村とも違った魅力があるマラッカは、多民族国家マレーシアの多様な文化が凝縮した「ミニ・マレーシア」と言ってもいいでしょう。
アニメの中の町の設計では、建築専門のスタッフが実際にマラッカの町を調査し、想像とリアルを掛け合わせた架空の町 “Kota Hilir” を作り上げました。マラッカで有名な建築物や街並みなどを描くことで、「アニメ聖地」巡礼のような形で日本からもファンが訪れてくれることを期待しています。また、マレーシアの多彩な食も知ってもらえるよう、主人公がカレーパフ(Karipap)を食べているシーンを描くなど、マレーシアを知ってもらうためのツーリズム的な要素も含めています。
私もドラえもん、ウルトラマン、ドラゴンボールなど日本のアニメを見て育ちました。漫画のコレクションもたくさんあります。日本人はベッドではなく畳に布団を敷いて寝ることや、日本の食、町の様子など、アニメを通じて日本文化をたくさん学びました。初めて日本を訪れた際には、どら焼きを食べました。今度は私たちのアニメを通して、マレーシア文化に興味を持ってもらい、マレーシアに来たらカレーパフを食べたいと思ってもらえるようになると嬉しいです。
アニメ産業の発展が著しいマレーシア
東南アジアの “アニメ・ハブ”に
我々のスタジオの製作スタッフの多くは、クアラルンプールにあるマルチメディア大学の卒業生です。主にインドネシアやタイ、バングラデシュなど、外国籍のスタッフも2割ほどいますが、同大学で学んだ経験をもつ人がほとんどです。アニメに関して基礎的な要素を共有し、共通言語でコミュニケーションが取りやすいので円滑に製作が進みます。2000年頃からは、海外からもマレーシアにアニメを学びにくる学生が増えました。アニメスタジオも増えてきていますし、今後、マレーシアは東南アジアのアニメ・ハブとしてますます発展すると思います。
コロナ禍にリリースされた『メカアマト』
苦境をチャンスに
マレーシアでは、新型コロナ感染症の拡大により長期間にわたり厳しいロックダウンを経験しました。本作の放送が始まったのは、そんなコロナ禍真っ只中の2021年12月でした。最初の活動制限令(MCO)が実施される直前、スタッフはアニメ製作に必要なパソコンや機材をそれぞれ自宅に持ち帰り、リモートでの製作が始まりました。コロナ禍で大変な状況でしたが、文句を言っていても仕方がないので、この苦境を生かしてチャンスに変えようと思い直しました。
実は、この期間、アニメ業界の需要は飛躍的に伸びました。自宅での動画配信サイト利用が増え、アニメコンテンツの需要が増えただけではなく、俳優を起用した企業CMのフィジカルな撮影も実施できなくなったため、アニメーションでの代用が求められるようになったのです。世界的に見ても、様々な企業が広告にアニメを採用するケースが増えました。アニメの可能性が広がったとも言えます。そのため、私たちのスタジオのスタッフも約2倍に増員しました。
この需要の高さは現在もあまり変わらず、良い方向に向かっていますが、アニメ産業が発展していくためには、今後も継続的に良い作品を製作していくことが必須だと考えています。
2023年4月からシーズン2放送開始、そして劇場公開も間近!
日本では、2023年4月から9月にかけて『メカアマト』シーズン2の放送がカートゥーンネットワークで始まります。10月以降にはNetflixでの配信も始まります。今年の年末か2024年初めには、新作映画を日本の劇場でも公開予定です。また、現在、日本のファンに向けたYouTubeアカウントの開設準備も進めています。
どんな物でもメカナイズしてしまうストーリーの想像力は無限大。日本の子供達が3Dアニメに親しみ、『メカアマト』が多くのファンに愛されるように、日本人のテイストにも合う作品づくりを心がけていきます。
『メカアマト』
少年アマトとメカボットの名コンビが宇宙からやってきたバッドロボと戦うアクションアドベンチャー。アニモンスター・スタジオ(Animonsta Studios)制作。2021年12月よりカートゥーン ネットワークにて放送が始まったテレビアニメ。日本では、2022年3月よりカートゥーンネットワークにて放送開始。Netflix Japan でもシーズン1を配信中!
日本公式ツイッターアカウント @MechamatoJP
(*1) アニメファンの投票によって、1年間に上映・放送された作品の中から選出される「アニメファン賞」。2022年度(2021年10月1日~2022年9月30日)の全上映・放送作品412作品から、アニメファンの投票で、ベスト100作品(劇場映画部門20作品・TVシリーズ部門80作品)を選出し、「みんなが選ぶベスト100」を決定。その中から、アニメファンの決選投票を行い、最も投票数の多かった作品を「TAAF2023 アニメファン賞」として選出。(TAAF2023 ウェブサイト参照: https://animefestival.jp/ja/post/17244/ )
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